束縛
- 2023.09.04
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
真唯(まゆ) 22歳
昴(すばる) 22歳
香織(かおり) 22歳
■台本
真唯(N)「彼氏のことは凄い好き。それは紛れもなく本当のこと。でもね、ちょっとだけ、束縛が強いな―って思うことがある。普段は優しいし、DVとかは絶対しないし、私のことを愛してくれてる。だけど、やっぱり、束縛がつよいんだよなぁ……」
場面転換。
真唯の部屋。
電話をしている真唯。
その近くでスマホゲームをしている昴。
真唯「うん。うん。わかった。でも、一次会までだからね。二次会は行かないから。うん。うん。それじゃね」
ピッと、電話を切る音。
真唯「ねえ、昴」
昴「ん? なに?」
真唯「今、香織から電話来たんだけどさ」
昴「うん」
真唯「合コンのメンバーが1人足りなくなっちゃんだって」
ピタリと手が止まる昴。
昴「う、うん。それで?」
真唯「穴埋めに、出てくれないかって」
昴「……」
真唯「出てもいい?」
昴「え?」
真唯「も、もちろん、数合わせだから、サッと出て、すぐ帰るよ。相手の男の子とも話さないし」
昴「そ、そっか。うん。いいよ。俺、真唯のこと信じてるから」
真唯「ありがと、昴。……昴のこと好きだからね」
昴「うん。俺もだよ、真唯」
場面転換。
バー。
合コンで盛り上がっている。
後ろで男女の笑い声がする。
真唯「香織、私、そろそろ帰るね」
香織「ええ!? もう? これからじゃない」
真唯「でも、ほら、彼氏、待ってるし」
香織「あー、そっか。ごめん、声かけちゃって」
真唯「ううん。気にしないで。はい、これ、参加費」
香織「いや、いいよ。私が無理に誘ったんだし」
真唯「いいから受け取って。私も飲み食いしたんだからさ」
香織「ありがと。じゃあ、昴くんによろしくね」
真唯「わかった。他の人には上手くいっておいて」
場面転換。
キイっとドアを開ける音。
店から出てくる真唯。
真唯「……えーっと」
キョロキョロする真唯。
真唯「やっぱり、いた」
真唯(N)「遠くに、物陰に隠れてこっちを見ている昴を見つける。信じると言っても、やっぱり不安なんだと思う。いつもそうだ。私を信じる、束縛しないと口で言っても、ああやって見に来るのだ。それがなんとなく、束縛されている感じで少しだけ重く感じる。……でも、昴のことを好きなのは変わらない」
場面転換。
真唯の部屋。
電話をしている昴。
その横で、スマホを操作している真唯。
昴「うん。うん。……大丈夫だと思う。バイトも入ってないし。うん、うん。じゃあ、当日に」
ピッと通話を切る昴。
真唯「(操作をしながら)誰から?」
昴「中学時代の友達」
真唯「へー。なんか、珍しいね。中学の友達から連絡来るなんて」
昴「なんか、中学の頃の同窓会やるんだってさ」
ピタリと操作の手が止まる真唯。
真唯「……行くの?」
昴「う、うん。行こうかなって」
真唯「そっか。楽しんできてね」
昴「ありがと。一次会で帰って来るから」
真唯「いいよ。気にしないで。楽しんできなよ」
昴「……真唯、好きだから」
真唯「なに? 急に。私も好きだよ」
場面転換。
物陰に隠れている真唯。
真唯「……あ、来た来た。……昴、ちょっとだけいつもよりオシャレ……かな?」
ジッと観察を続ける真唯。
真唯「あの男の子が友達かな? ……よかった。女の友達じゃなかったか。府ふ。心配し過ぎかな。……でも、会場には女の子、いるだろうかなぁ……」
場面転換。
ジッと会場の入り口を見ている真唯。
真唯「あ、出てきた出てきた。ほっ。一人だね。もう、大丈夫かな」
そのとき、電話がかかってくる。
真唯「あれ? 昴からだ」
ピッと通話ボタンを押す。
昴の声「あ、真唯? ねえ、これから一緒にご飯食べない?」
真唯「え? 昴食べてないの? 同窓会でしょ?」
昴の声「真唯と一緒に食べようと思って、食べなかったんだよな」
真唯「……そっか。うん。わかった。じゃあ、駅の改札のところで待ち合わせでいい?」
昴の声「うん。わかった。じゃあね」
真唯「じゃあ、後で」
ピッと通話ボタンを押して、電話を切る。
真唯(N)「昴は私のことを思ってくれている。それがすごく嬉しい。少し、束縛が強いけど、私は昴のことが大好きなのだ」
終わり。