束縛

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
真唯(まゆ) 22歳
昴(すばる) 22歳
香織(かおり) 22歳

■台本

真唯(N)「彼氏のことは凄い好き。それは紛れもなく本当のこと。でもね、ちょっとだけ、束縛が強いな―って思うことがある。普段は優しいし、DVとかは絶対しないし、私のことを愛してくれてる。だけど、やっぱり、束縛がつよいんだよなぁ……」

場面転換。

真唯の部屋。

電話をしている真唯。

その近くでスマホゲームをしている昴。

真唯「うん。うん。わかった。でも、一次会までだからね。二次会は行かないから。うん。うん。それじゃね」

ピッと、電話を切る音。

真唯「ねえ、昴」

昴「ん? なに?」

真唯「今、香織から電話来たんだけどさ」

昴「うん」

真唯「合コンのメンバーが1人足りなくなっちゃんだって」

ピタリと手が止まる昴。

昴「う、うん。それで?」

真唯「穴埋めに、出てくれないかって」

昴「……」

真唯「出てもいい?」

昴「え?」

真唯「も、もちろん、数合わせだから、サッと出て、すぐ帰るよ。相手の男の子とも話さないし」

昴「そ、そっか。うん。いいよ。俺、真唯のこと信じてるから」

真唯「ありがと、昴。……昴のこと好きだからね」

昴「うん。俺もだよ、真唯」

場面転換。

バー。

合コンで盛り上がっている。

後ろで男女の笑い声がする。

真唯「香織、私、そろそろ帰るね」

香織「ええ!? もう? これからじゃない」

真唯「でも、ほら、彼氏、待ってるし」

香織「あー、そっか。ごめん、声かけちゃって」

真唯「ううん。気にしないで。はい、これ、参加費」

香織「いや、いいよ。私が無理に誘ったんだし」

真唯「いいから受け取って。私も飲み食いしたんだからさ」

香織「ありがと。じゃあ、昴くんによろしくね」

真唯「わかった。他の人には上手くいっておいて」

場面転換。

キイっとドアを開ける音。

店から出てくる真唯。

真唯「……えーっと」

キョロキョロする真唯。

真唯「やっぱり、いた」

真唯(N)「遠くに、物陰に隠れてこっちを見ている昴を見つける。信じると言っても、やっぱり不安なんだと思う。いつもそうだ。私を信じる、束縛しないと口で言っても、ああやって見に来るのだ。それがなんとなく、束縛されている感じで少しだけ重く感じる。……でも、昴のことを好きなのは変わらない」

場面転換。

真唯の部屋。

電話をしている昴。

その横で、スマホを操作している真唯。

昴「うん。うん。……大丈夫だと思う。バイトも入ってないし。うん、うん。じゃあ、当日に」

ピッと通話を切る昴。

真唯「(操作をしながら)誰から?」

昴「中学時代の友達」

真唯「へー。なんか、珍しいね。中学の友達から連絡来るなんて」

昴「なんか、中学の頃の同窓会やるんだってさ」

ピタリと操作の手が止まる真唯。

真唯「……行くの?」

昴「う、うん。行こうかなって」

真唯「そっか。楽しんできてね」

昴「ありがと。一次会で帰って来るから」

真唯「いいよ。気にしないで。楽しんできなよ」

昴「……真唯、好きだから」

真唯「なに? 急に。私も好きだよ」

場面転換。

物陰に隠れている真唯。

真唯「……あ、来た来た。……昴、ちょっとだけいつもよりオシャレ……かな?」

ジッと観察を続ける真唯。

真唯「あの男の子が友達かな? ……よかった。女の友達じゃなかったか。府ふ。心配し過ぎかな。……でも、会場には女の子、いるだろうかなぁ……」

場面転換。

ジッと会場の入り口を見ている真唯。

真唯「あ、出てきた出てきた。ほっ。一人だね。もう、大丈夫かな」

そのとき、電話がかかってくる。

真唯「あれ? 昴からだ」

ピッと通話ボタンを押す。

昴の声「あ、真唯? ねえ、これから一緒にご飯食べない?」

真唯「え? 昴食べてないの? 同窓会でしょ?」

昴の声「真唯と一緒に食べようと思って、食べなかったんだよな」

真唯「……そっか。うん。わかった。じゃあ、駅の改札のところで待ち合わせでいい?」

昴の声「うん。わかった。じゃあね」

真唯「じゃあ、後で」

ピッと通話ボタンを押して、電話を切る。

真唯(N)「昴は私のことを思ってくれている。それがすごく嬉しい。少し、束縛が強いけど、私は昴のことが大好きなのだ」

終わり。

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