あんたにあげるよ
- 2023.10.25
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
亜希(あき)
壮馬(そうま)
■台本
大学内。
亜希「ねえ、壮馬。お昼ご飯食べた?」
壮馬「ん? まだだけど」
亜希「私、3限目休講だから、一緒になんか食べない?」
壮馬「……俺は普通にあるんだけど。3限目」
亜希「どこ行く? 私、ラーメン食べたいんだけど」
壮馬「聞けよ。人の話」
場面転換。
麺を啜る音。
亜希「あー、やっぱ、ここのラーメンは最高!」
壮馬「お前は昔から、ラーメン好きだもんな」
亜希「けど、最近は週に1回も食べれないからさー。もう、禁断症状出まくりよ」
壮馬「ん? なんで? もっと食べにくりゃいいじゃん。バイトもしてるんだから、金だってあるだろ?」
亜希「お金の問題じゃないっつーの」
壮馬「ああ。ダイエットとかか?」
亜希「まあ、それもあるんだけどね」
壮馬「それ以外はなんだよ?」
亜希「イメージよ、イメージ。私、大学じゃ清楚で通ってるからさ。ラーメンなんて食べないと思われてるのよね」
壮馬「お前が清楚? ……はっ(バカにした笑い)」
亜希「感じ悪!」
壮馬「別に気にしなくていいんじゃねーの」
亜希「そうもいかないんだって。だから、ラーメン行くってなったら、あんたくらいしか一緒に行けないのよ」
壮馬「一人で行けばいいじゃん」
亜希「あのね。それこそ、一人でラーメン食べてるところ見られたら、寂しい女だって思われるでしょ」
壮馬「……面倒くせえな」
場面転換。
ガラガラと店のドアを開けて、外に出る2人。
亜希「あー、食べた食べた」
壮馬「美味かったなー」
亜希「あ、これ、あんたにあげる。付き合ってくれたお礼」
壮馬「……お礼って。これって、ラーメン食べたら貰える、サービス券じゃねーか」
亜希「5枚集めたら、トッピング無料になるみたいだからさ。集めておけば」
壮馬「ん。じゃあ、貰っておく」
券を財布に入れる壮馬。
場面転換。
大学内。
亜希「よし、ラーメン食いに行くよ」
壮馬「いきなりだし、俺の予定も聞けよ」
亜希「またあそこでいいでしょ?」
壮馬「……はいはい」
場面転換。
ガラガラとお店のドアを開けて外に出る2人。
亜希「ふあー。食べた食べた」
壮馬「ここのラーメンは癖になるよな」
亜希「じゃあ、はい。これ、サービス券。あんたにあげる」
壮馬「お、サンキュー。これで結構溜まったな」
亜希「どれどれ? あれ? 多くない?」
壮馬「一人でちょこちょこ来てるんだよ」
亜希「え? ずるい」
壮馬「なにがだよ」
場面転換。
亜希がやって来る。
亜希「壮馬―」
壮馬「……ラーメンだろ?」
亜希「え? よくわかったね」
壮馬「……」
場面転換。
ラーメン屋。ガヤガヤしている。
壮馬「俺は、味噌チャーシュー大盛りで」
亜希「じゃあ、私は野菜の醤油で、トッピングに半熟卵付けてもらおうかな」
壮馬「なんだよ、トッピングつけるなら、さっき、販売機で買えばよかったのに」
亜希「何言ってるのよ。あんた、サービス券5枚溜まってるでしょ。出して」
壮馬「……まあ、いいけど」
亜希「じゃあ、はい。これでお願いしまーす」
壮馬「お前、ホント、良い性格してるよ」
亜希「どーも」
場面転換。
ガラガラとドアが開き、2人が店から出てくる。
亜希「今日も美味しかったー」
壮馬「だな」
亜希「あ、そうだ。今日も、サービス券あげる」
壮馬「……あのさ」
亜希「ん?」
壮馬「お前、これ、俺にくれてるんじゃなくて、単に俺に持たせてるだけじゃないだろーな?」
亜希「げっ! バレたか」
壮馬「お前、ホント、良い性格だよ」
亜希「ってことで、一人でラーメン食べてもいいけど、サービス券は使わないこと」
壮馬「前言撤回。お前は最悪な性格だよ」
終わり。