あんたにあげるよ

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
亜希(あき)
壮馬(そうま)

■台本

大学内。

亜希「ねえ、壮馬。お昼ご飯食べた?」

壮馬「ん? まだだけど」

亜希「私、3限目休講だから、一緒になんか食べない?」

壮馬「……俺は普通にあるんだけど。3限目」

亜希「どこ行く? 私、ラーメン食べたいんだけど」

壮馬「聞けよ。人の話」

場面転換。

麺を啜る音。

亜希「あー、やっぱ、ここのラーメンは最高!」

壮馬「お前は昔から、ラーメン好きだもんな」

亜希「けど、最近は週に1回も食べれないからさー。もう、禁断症状出まくりよ」

壮馬「ん? なんで? もっと食べにくりゃいいじゃん。バイトもしてるんだから、金だってあるだろ?」

亜希「お金の問題じゃないっつーの」

壮馬「ああ。ダイエットとかか?」

亜希「まあ、それもあるんだけどね」

壮馬「それ以外はなんだよ?」

亜希「イメージよ、イメージ。私、大学じゃ清楚で通ってるからさ。ラーメンなんて食べないと思われてるのよね」

壮馬「お前が清楚? ……はっ(バカにした笑い)」

亜希「感じ悪!」

壮馬「別に気にしなくていいんじゃねーの」

亜希「そうもいかないんだって。だから、ラーメン行くってなったら、あんたくらいしか一緒に行けないのよ」

壮馬「一人で行けばいいじゃん」

亜希「あのね。それこそ、一人でラーメン食べてるところ見られたら、寂しい女だって思われるでしょ」

壮馬「……面倒くせえな」

場面転換。

ガラガラと店のドアを開けて、外に出る2人。

亜希「あー、食べた食べた」

壮馬「美味かったなー」

亜希「あ、これ、あんたにあげる。付き合ってくれたお礼」

壮馬「……お礼って。これって、ラーメン食べたら貰える、サービス券じゃねーか」

亜希「5枚集めたら、トッピング無料になるみたいだからさ。集めておけば」

壮馬「ん。じゃあ、貰っておく」

券を財布に入れる壮馬。

場面転換。

大学内。

亜希「よし、ラーメン食いに行くよ」

壮馬「いきなりだし、俺の予定も聞けよ」

亜希「またあそこでいいでしょ?」

壮馬「……はいはい」

場面転換。

ガラガラとお店のドアを開けて外に出る2人。

亜希「ふあー。食べた食べた」

壮馬「ここのラーメンは癖になるよな」

亜希「じゃあ、はい。これ、サービス券。あんたにあげる」

壮馬「お、サンキュー。これで結構溜まったな」

亜希「どれどれ? あれ? 多くない?」

壮馬「一人でちょこちょこ来てるんだよ」

亜希「え? ずるい」

壮馬「なにがだよ」

場面転換。

亜希がやって来る。

亜希「壮馬―」

壮馬「……ラーメンだろ?」

亜希「え? よくわかったね」

壮馬「……」

場面転換。

ラーメン屋。ガヤガヤしている。

壮馬「俺は、味噌チャーシュー大盛りで」

亜希「じゃあ、私は野菜の醤油で、トッピングに半熟卵付けてもらおうかな」

壮馬「なんだよ、トッピングつけるなら、さっき、販売機で買えばよかったのに」

亜希「何言ってるのよ。あんた、サービス券5枚溜まってるでしょ。出して」

壮馬「……まあ、いいけど」

亜希「じゃあ、はい。これでお願いしまーす」

壮馬「お前、ホント、良い性格してるよ」

亜希「どーも」

場面転換。

ガラガラとドアが開き、2人が店から出てくる。

亜希「今日も美味しかったー」

壮馬「だな」

亜希「あ、そうだ。今日も、サービス券あげる」

壮馬「……あのさ」

亜希「ん?」

壮馬「お前、これ、俺にくれてるんじゃなくて、単に俺に持たせてるだけじゃないだろーな?」

亜希「げっ! バレたか」

壮馬「お前、ホント、良い性格だよ」

亜希「ってことで、一人でラーメン食べてもいいけど、サービス券は使わないこと」

壮馬「前言撤回。お前は最悪な性格だよ」

終わり。

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