ギャップ

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■概要
人数:3人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
陽介(ようすけ)
千昌(ちあき)
帆波(ほなみ)

■台本

朝。部屋で寝ている陽介。

陽介「……(寝息)」

いきなり、バタンとドアが開く音。

千昌「陽介! 遅刻するわよ!」

陽介「うわあ!」

驚いて飛び起きる陽介。

場面転換。

通学路。陽介と千昌が歩いている。

陽介「……お前さぁ。もう少し、優しく起こせないわけ?」

千昌「はあ? あれぐらい声出さないと、あんた起きないじゃない。大体、毎回、起こしてもらえるだけありがたく思いなさいよ」

陽介「それはまあ……助かってるけどよ」

千昌「なら、文句言わない」

少し歩く陽介と千昌。

陽介「なあ、千昌。お前、なんで俺にここまでしてくれるんだ?」

千昌「なによ、急に?」

陽介「ほら、なんつーか、毎朝、起こすって大変だったりするだろ?」

千昌「んー。もう習慣になってるからなぁ。別に大変って思ったことはないかな」

陽介「それでもさ、赤の他人を毎朝起こすことはしないわけだろ?」

千昌「そりゃね」

陽介「……なんで、俺だけ、起こしてくれるのかなって」

千昌「お隣同士だからじゃない?」

陽介「よく漫画とかであるだろ? 幼馴染が付き合う、なんて展開」

千昌「あはははは。あんたと私に限って、それはない」

陽介「だ、だよな……」

場面転換。

教室内。休み時間。

帆波「それは男として見られてないね」

陽介「やっぱり?」

帆波「よく、漫画とかであるじゃない? 近すぎて恋愛の対象にならないって、展開」

陽介「その展開はあって欲しくなかったな」

帆波「このままじゃ、最悪、男とみられないうちに、千昌に男ができるパータンね」

陽介「な、なんとかならないか?」

帆波「んー。そうだなぁ。やっぱり、女ってギャップに弱いのよ。今まで意識してなかった異性から感じれば、破壊力大ね」

陽介「ギャップか……」

場面転換。

陽介の部屋。

バンとドアが開く音。

千昌「陽介! 遅刻するわよ!」

陽介「千昌―。おはようのちゅーして」

千昌「……」

場面転換。

通学路。

陽介と千昌が歩いている。

陽介「千昌―。手、繋ごうよ」

千昌「……」

バンとカバンで顔を叩かれる陽介。

陽介「いってっ! なにすんだよ!」

千昌「目、覚めた?」

陽介「覚めてるに決まってんだろ」

千昌「じゃあ、朝からのあのキモさは何なのよ」

陽介「あー、いや、ギャップをだな」

千昌「ギャップ?」

陽介「ほら、男ってギャップがある方がいいんだろ? だから、ちょっと子供っぽいところを出してみたんだが」

千昌「はあ……」

陽介「なんだよ?」

千昌「あんた、元々、子供っぽいんだからギャップにならないわよ」

陽介「っ!?」

終わり。

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