海老で鯛を釣る

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■概要
人数:3人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
公太(こうた)
恭平(きょうへい)
未亜(みあ)

■台本

放課後の教室。

未亜が公太にチョコを渡している。

未亜「はい、これ。バレンタインデーのチョコレート」

公太「……え? 俺に?」

未亜「うん!」

公太「そ、そっか……。ありがと。今まで貰ったことないからビックリしたよ」

未亜「あははは。大げさだなぁ」

公太「じゃあ、帰ってから、大切に食べさせてもらうよ」

未亜「うん! あ、それ、本命チョコだから」

公太「……え? 本命?」

未亜「うん。本命」

公太「え? え? え? じゃ、じゃあ……」

未亜「うん。公太くんのこと好きってこと」

公太「……」

未亜「よかったら、付き合ってくれる?」

場面転換。

次の日の休み時間の教室。

恭平「……で? なんて答えたんだ?」

公太「もちろん、即オッケーしたに決まってるだろ」

恭平「だよなぁ」

公太「断る理由があるわけないし」

恭平「はあ……。まさか、お前に彼女ができるなんてなぁ」

公太「ふふふ」

恭平「なんか、イラっとするな。……で? 貰ったチョコはやっぱり、手作りだったのか?」

公太「いや、それがさ……」

カバンをガサガサと漁る音。

公太「これ、貰ったチョコなんだけどさ……」

恭平「お前、持ち歩いてんの?」

公太「嬉しかったからさ」

恭平「キモ」

公太「うっせー。それより、どう思う? このチョコレート」

恭平「……完璧、市販のチョコだよな?」

公太「やっぱ、そう思うか? だから、最初、義理だと思ったんだよ」

恭平「ふーん……。まあ、料理が不得意ってオチなんじゃね?」

公太「だ、だよな」

恭平「それよりさ、デートとかどうするんだ? お前、デートしたことないだろ?」

公太「それがさ……。デートは1ヶ月後まで待ってほしいって言われたんだよ」

恭平「へ? なんで?」

公太「俺が本気かどうか見たい、だってさ」

恭平「……ああ。告白されたから、誰でもいいって感じで付き合うのは嫌ってことか?」

公太「そうだと思う」

恭平「でも、それで、なんで1ヶ月後なんだ? ……あ、もしかして」

公太「そう。ホワイトデーだな」

恭平「気合い入れたホワイトデーをくれるかどうかってことか」

公太「まあ、直接言われたわけじゃないけどな。とにかく、今週からバイト始めたよ」

恭平「大変だなぁ……」

公太「しょうがいさ」

場面転換。

1ヶ月後の、放課後の教室。

公太と未亜が向かい合っている。

公太「こ、これ! ホワイトデーのプレゼント!」

未亜「ありがとー! わー! カバンだぁ!」

公太「これで俺が本気ってこと、わかってくれた?」

未亜「うん!」

公太「じゃ、じゃあ、今度の土曜日なんだけどさ、デートしてくれるよね?」

未亜「そのことなんだけどさ……」

公太「なに?」

未亜「私たち、別れましょ!」

公太「へ? なんで?」

未亜「新しく、好きな人が出来たのー」

未亜が走って行ってしまう。

公太「……」

場面転換。

次の日の休み時間。

恭平「えーっと、どういうことだ?」

公太「……俺以外にも、色々な男に、バレンタインのチョコを渡してたみたい」

恭平「……あー。つまり、エビで鯛を釣ったわけだな」

公太「ちくしょー!」

終わり。

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