海老で鯛を釣る
- 2024.01.05
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:3人
時間:3分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
公太(こうた)
恭平(きょうへい)
未亜(みあ)
■台本
放課後の教室。
未亜が公太にチョコを渡している。
未亜「はい、これ。バレンタインデーのチョコレート」
公太「……え? 俺に?」
未亜「うん!」
公太「そ、そっか……。ありがと。今まで貰ったことないからビックリしたよ」
未亜「あははは。大げさだなぁ」
公太「じゃあ、帰ってから、大切に食べさせてもらうよ」
未亜「うん! あ、それ、本命チョコだから」
公太「……え? 本命?」
未亜「うん。本命」
公太「え? え? え? じゃ、じゃあ……」
未亜「うん。公太くんのこと好きってこと」
公太「……」
未亜「よかったら、付き合ってくれる?」
場面転換。
次の日の休み時間の教室。
恭平「……で? なんて答えたんだ?」
公太「もちろん、即オッケーしたに決まってるだろ」
恭平「だよなぁ」
公太「断る理由があるわけないし」
恭平「はあ……。まさか、お前に彼女ができるなんてなぁ」
公太「ふふふ」
恭平「なんか、イラっとするな。……で? 貰ったチョコはやっぱり、手作りだったのか?」
公太「いや、それがさ……」
カバンをガサガサと漁る音。
公太「これ、貰ったチョコなんだけどさ……」
恭平「お前、持ち歩いてんの?」
公太「嬉しかったからさ」
恭平「キモ」
公太「うっせー。それより、どう思う? このチョコレート」
恭平「……完璧、市販のチョコだよな?」
公太「やっぱ、そう思うか? だから、最初、義理だと思ったんだよ」
恭平「ふーん……。まあ、料理が不得意ってオチなんじゃね?」
公太「だ、だよな」
恭平「それよりさ、デートとかどうするんだ? お前、デートしたことないだろ?」
公太「それがさ……。デートは1ヶ月後まで待ってほしいって言われたんだよ」
恭平「へ? なんで?」
公太「俺が本気かどうか見たい、だってさ」
恭平「……ああ。告白されたから、誰でもいいって感じで付き合うのは嫌ってことか?」
公太「そうだと思う」
恭平「でも、それで、なんで1ヶ月後なんだ? ……あ、もしかして」
公太「そう。ホワイトデーだな」
恭平「気合い入れたホワイトデーをくれるかどうかってことか」
公太「まあ、直接言われたわけじゃないけどな。とにかく、今週からバイト始めたよ」
恭平「大変だなぁ……」
公太「しょうがいさ」
場面転換。
1ヶ月後の、放課後の教室。
公太と未亜が向かい合っている。
公太「こ、これ! ホワイトデーのプレゼント!」
未亜「ありがとー! わー! カバンだぁ!」
公太「これで俺が本気ってこと、わかってくれた?」
未亜「うん!」
公太「じゃ、じゃあ、今度の土曜日なんだけどさ、デートしてくれるよね?」
未亜「そのことなんだけどさ……」
公太「なに?」
未亜「私たち、別れましょ!」
公太「へ? なんで?」
未亜「新しく、好きな人が出来たのー」
未亜が走って行ってしまう。
公太「……」
場面転換。
次の日の休み時間。
恭平「えーっと、どういうことだ?」
公太「……俺以外にも、色々な男に、バレンタインのチョコを渡してたみたい」
恭平「……あー。つまり、エビで鯛を釣ったわけだな」
公太「ちくしょー!」
終わり。