大人の特権
- 2024.03.17
- 映像系(10分~30分) 退避

■概要
人数:4人
時間:3分
■ジャンル
ドラマ、漫画、現代、シリアス
■キャスト
健也(けんや)
母親
直輝(なおき)
真奈美(まなみ)
■台本
健也がゲームをしている。
健也「……よし、クリア! ようやく、ラストまで辿り着いたぞ。あともう少し……」
ガチャリとドアが開く。
母親「ちょっと! 健也、いつまで起きてるの! もう一時よ! 早く寝なさい!」
健也「あと、30分……。もうすぐクリアできるから」
母親「バカ言ってるんじゃないの!」
母親がズカズカと部屋に入って来て、リモコンでテレビを消す。
健也「あっ!」
母親「ほら、早く、歯みがいて寝なさい」
健也「……」
母親「なに? また、お小遣い、減らされたい?」
健也「……わかったよ」
立ち上がって、部屋を出て行く健也。
場面転換。
20年後。
直輝「へー。パパもそんなときがあったんだ?」
健也「ああ。あのときは、世の中はなんて理不尽なんだと思ったね」
直輝「それならさ、パパはわかってくれるよね? もう少しでクリアできるんだ」
健也「ダメだ」
直輝「えー、なんで!? パパは理不尽だって思ったんだよね? 僕にも、その理不尽を押し付ける気?」
健也「はあ……。お前は何もわかってない」
直輝「なにが?」
健也「パパがこの話をしたのは、お前の気持ちがわかるってことじゃないんだ」
直輝「どういうこと?」
健也「俺も我慢したんだから、お前も我慢しろってことだ」
直輝「えええーーー! 何それ!」
健也「何それ、じゃない! お前だけ、自由にゲーム出来たら、パパ、悔しいだろ。だから、お前はもう歯みがいて寝ること」
直輝「……」
健也「お小遣い、減らされたいか?」
直輝「……大人ってズルい!」
直輝が立ち上がって、歩いていく。
健也「はっはっは! そうなのだ。大人ってズルいのだよ」
健也が立ち上がる。
健也「さてと……」
ゲーム機から、ソフトを入れ替える。
新しいゲームのBGMが流れる。
健也「いやー。夜遅くまで自由にゲームができる。これぞ、大人の特権ってやつだな」
ゲームを始める健也。
健也「(鼻歌まじりでゲームをする)」
そこに、ツカツカと真奈美がやってきて、リモコンでテレビを消す。
健也「あっ!」
真奈美「あなたも明日、会社でしょ! 早く寝なさい」
健也「あー、いや……一時間だけ」
真奈美「お小遣い、減らして欲しいの?」
健也「……わかったよ」
健也が立ち上がって、洗面台へと向かう。
健也「……大人になっても、あんまり変わらないな……」
終わり。