甘噛み

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
尭(あき) 17歳
美緒(みお) 17歳
真奈美(まなみ) 17歳

■台本

道場内。
尭と美緒が組技をやっている。

尭「やあっ!」
美緒「わわっ!」

尭に倒される美緒。
そして、美緒に腕十字を決める。

美緒「いだだだ! ギブギブ!」
尭「ふう」

パッと手を放す美緒。

美緒「……尭。もう少し、こう、手加減とかないの?」
尭「え? してるじゃん」
美緒「……うーん。尭の感覚で手加減って言われてもなぁ。私に合わせてよ」
尭「ええー。面倒くさい」
美緒「……もう、練習に付き合わなくていい?」
尭「ああ! ごめんごめん。今度はちゃんと、しっかり手を抜くから」
美緒「そう言われると、それはそれでイラっとするわね」

場面転換。
美緒に腕十字を決める尭。

美緒「いだだだ! ギブギブ!」
尭「ふう」

パッと手を放す美緒。

美緒「全然、ダメじゃん!」
尭「あっ! ……ごめん、美緒」

場面転換。
尭と美緒と真奈美が並んで歩いている。

真奈美「あはは。それは災難だったね」
美緒「はあー。もう嫌。何が悲しくて、化け物の練習に付き合わないとならないのよ……」
尭「化け物って……」
美緒「総合格闘技大会、女子一般の部でぶっちぎりの優勝……。十分、化け物じゃない」
尭「ひどい……」
真奈美「まあまあ。なんだかんだ言って、美緒だってこの辺じゃ断トツで強いんだからさ。尭の練習に付き合えるの、美緒くらいしかいないじゃん」
尭「そうだよ」
美緒「……軽く言わないでよ。一回、真奈美も尭の練習相手やってみてから言って」
真奈美「いや、文系の私が尭と練習したら、冗談抜きで殺されそう」
美緒「あー。ありそう」
尭「……酷い」
真奈美「それはそうと、今日はどうする?」
尭「寄ってくー」
美緒「私も。少しは癒しが欲しい」
真奈美「わかった。起きてるといいんだけどね」

場面転換。
真奈美の家。

尭「……」
美緒「……」
真奈美「残念。寝てるね」

チーちゃん(猫)が寝ている。

美緒「ううー。チーちゃん起きて―」
尭「美緒、ダメだよ。起こしちゃ」
真奈美「起きても不機嫌になるよ」
美緒「チーちゃん。チーちゃーん」
チー「ふーっ!」
美緒「うわ! 起きたけど、怒ってる」
真奈美「無理やり起こしたからねぇ」
尭「おやつとかないの?」
真奈美「食べ物で釣るの? まあ、いっか」

場面転換。
チーちゃんを撫でている尭。

チー「ふにゃーん」
尭「いやー、チーちゃんは天使だわ」

ゴロゴロと喉を鳴らすチーちゃん。

尭「ふふふふ」
チー「ふにゃにゃにゃ」

すると突然、チーちゃんが噛みつく。

尭「ぎゃーーー! 痛い―! なにすんの?」
真奈美「ああー。それ、遊んでるんだよ。甘噛みってやつだね」
尭「ううー痛いよ。ちゃんと手加減して噛んでよ、チーちゃん! 空気読んで!」
美緒「……あんたがそれを言う?」

終わり。

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