【シナリオブログ】妖怪退治は放課後に 第3話④

【シナリオブログ】妖怪退治は放課後に 第3話④

○  シーン 5
 廊下を歩く、和馬。

和馬「部員をもう一人か……どうしようかな。京太にでも頼んでみるかな」
京太「ん? 俺が、どうかしたか?」
和馬「うわっ! 京太。急に出てこないでよ。って、まさか……」
京太「どうしたんだ? キョロキョロして?」
和馬「また、何か、事件を持ってきたんだろ。絶対、そうに決まってる」
京太「バカ言うな。起きてもない事件を持ってくるほど、俺も有能じゃねーよ。で? 俺になんか用事とかあるんじゃないのか?」
和馬「ああ、そうそう。あのさ、京太。名前だけでいいから、占星クラブに入ってくれないかな?」
京太「千愛先輩のところかぁ? うーん。あんな美人とお近づきになれるのは、美味しいけどなぁ……」
和馬「なにか、まずいことあるの?」
京太「ほら、俺って報道部に所属してるだろ? あそこ、兼部は、禁止なんだよ」
和馬「ああ。そういえば、そんな胡散臭い部に入ってたね。そっか……。ダメかぁ」
京太「すまん。あそこ、気に入ってるんだ。……いや、報道部にいることが俺の使命なんだ。事件が俺を呼んでるぜ!」
和馬「止めてよ、縁起でもない。それじゃなくても、京太といると事件に巻き込まれやすいんだから……」

  そこに、ダダダと走ってくる音がする。

男子生徒「おらぁ、テメエ! 見つけたぞ!」
和馬「(うんざり)ほらぁ。京太、呼んでるよ」
京太「なんで、俺って決めつけるんだよ」
和馬「あのさ、事件を起こしたいからって、そこら中で火種を作るのって良くないと思うよ」
京太「何言ってんだ。うちの部はヤラセ無しが売りなんだぞ。それにこんな奴、知らん」
和馬「僕だって、知らないよ」
男子生徒「俺を知らないとは、言わせねえぞ、芹澤和馬!」
和馬「え? 僕?」
男子生徒「お前のせいで、俺は停学を喰らったんだぞ! 恨んでも恨みきれねえ」
和馬「え? なに? なんのこと?」
京太「生研絡みじゃないのか? ほら、夏姫先輩と暴れまわったとか」
和馬「そんなこと言われたら、心当たりが多すぎて、逆に分かんないよ」
男子生徒「違う! お前個人への恨みだ」
和馬「え? うそぉ。僕、個人?」
京太「へー、意外だな。和馬がこんな、いかにも不良って、感じの奴と接点があるなんて」
男子生徒「忘れたなら、思い出させてやる。あれは三週間前の放課後……と言うより、夜の話だ。上級生に追いかけられ、逃げていた俺は屋上の隅に隠れ、難を逃れた」
京太「ちょっと待てよ。屋上って、いつも鍵かかってなかったか? 入れるわけねえじゃん」
和馬「うん。そうだよね……。あっ! 三週間前?」
京太「なんだ? 何か心当たりあるのか?」
和馬「……月に一回、屋上の清掃っていうのがあってさ。何でか分からないけど、それって生研の持ちまわりなんだ」
京太「生研が掃除? 珍しいな」
和馬「それで、夏姫先輩が『人間の掃除なら得意だが、そういう掃除は苦手だ』って言って、僕に押し付けてきたんだよ」
京太「まあ、夏姫先輩らしいな」
和馬「で、掃除が終わった後、鍵をかけ忘れたんだ。すっごく、怒られたから覚えてる」
男子生徒「そうだ! お前が鍵をかけ忘れたのが悪いんだ」
京太「いやいや、違うだろ。あんたは、追われてて、屋上に隠れられたんだから、逆に感謝してもいいくらいなんじゃないか?」
男子生徒「話には、続きがある。追っ手を逃れて安心した俺は、屋上で一服をした。そして、次の日、吸殻を持った先公が、俺のところに来たんだ」
京太「で?」
男子生徒「俺は、必死に誤魔化した。俺が屋上から出る時に、すれ違うように、屋上に入って行った奴がいたからな、そいつに罪をなすり付けようとしたんだ」
和馬「……最低ですね」
男子生徒「だが、俺の言葉を、先公共は信じてくれなかった。逆に笑われたんだ。真田が、タバコを吸うわけがないってな」
和馬「真田って……もしかして、真田雅人先輩のことですか?」
男子生徒「そうだ」
京太「真田雅人? 誰だ?」
和馬「京太、それでも報道部なの? この学園始まって以来の天才なんだって。よく、夏姫先輩の話に、出てくるよ」
男子生徒「俺は、持ち物検査をされた。そしたら、吸殻と同じ銘柄のタバコが俺のカバンから出てきた。それで、俺は停学を喰らったんだ!」
和馬「……当然、だよね?」
京太「だよな」
男子生徒「お前が、ちゃんと鍵を閉めてれば、一服しようなんて考えなかったんだ!」
和馬「完全な、逆恨みだ!」
男子生徒「お前に分かるか? いつも天才と比べられる、落ちこぼれの気持ちが!」
和馬「なんで、その矛先が僕なんですかっ!」
男子生徒「うるせぇ! おらあ(殴ってくる)」
和馬「うわっ、危ない(かわす)」
男子生徒「くそ、ちょこまかと」

  男子生徒の攻撃を避け続ける和馬。

京太「おお。和馬、避けるの上手くなったな」
和馬「京太。見てないで、助けてよ」
京太「うーん。俺は、か弱き一般生徒だからなぁ」
和馬「じゃあ、夏姫先輩呼んできてよ」
京太「見つからないし、お前の方が頼みやすい……。おっと、使うところ間違った」
和馬「うわー、夏姫先輩、助けてぇ~」
夏姫「あん? 呼んだか?(男子生徒を殴る)」
男子生徒「ぶべっ!(吹き飛ぶ)」
和馬「え? あっ、夏姫先輩。……あれ? 手塚先輩と話し中じゃ……」
夏姫「(不機嫌そうに)ちっ、何が『二十四回触れる』だ。一発でKOされやがって」
和馬「なんで、そんなに残念そうなんですか?」
夏姫「ああ? なんで、俺が残念なんだよ!」
和馬「す、すいません」
夏姫「ふん。じゃあ、俺は教室に戻るぞ」

  夏姫が歩き出す。

和馬「夏姫先輩。この人、どうしましょう?」
夏姫「花壇にでも埋めとけっ! ……お、そうだ」

  ふと、立ち止まる夏姫。

夏姫「千愛が、今日はクラブに来なくて良いってよ」
和馬「え? どうしてですか?」
夏姫「さあな。あいつも、バイトで忙しいんじゃねえか」
和馬「……バイト、かぁ……」
夏姫「生研の方も、今日は寄らなくていいぞ。結局、昨日、雫と書類全部やっちまったからな。久々に、お前もゆっくりしろよ」

  再び、歩き出す夏姫。

和馬「ゆっくりと……か」
京太「いやー、やっぱり、夏姫先輩はカッコいいよなぁ」
和馬「……」

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