【シナリオブログ】妖怪退治は放課後に 第3話⑤

○  シーン 6
放課後、廊下を歩く和馬。

和馬「夏姫先輩には、ああ言われたけど、結局向かっちゃうんだよなぁ……」
珠萌「あれー? 和馬君じゃーん」

珠萌が走ってきて、和馬の横に並んで歩く。

珠萌「どこに行くの? 生研なら、逆方向でしょ?」
和馬「ああ、うん。今日は、生研の方は休みなんだ。だから、占星クラブの方に早めに行こうって思ってさ」
珠萌「ふーん。色々忙しいんだねぇ」
和馬「いや、忙しいってほどじゃないよ。せいぜい、部室を掃除するくらいかな。どうせ、今日は、千愛先輩いないし」
珠萌「そうなんだ? じゃあ、掃除終わったら、すぐ帰れるの?」
和馬「うっ……。すぐには、無理かも。結局、昨日は、半分も部室の掃除できなかったしね。今日も、遅くまでかかりそうかな」
珠萌「なーんだ。じゃあ、デートに誘っても、また断られちゃうってことかぁ?」
和馬「ちょ、ちょっと、珠萌さん、変なこと言わないでよ」
珠萌「あははは。冗談、冗談。ビックリした?……って、いや、ホント、冗談だから、拳固めないで!」
和馬「もう。珠萌さん、可愛いんだから、あんまりそういうこと、言わない方がいいよ。変に誤解されたら、大変だよ」
珠萌「真摯に受け止めます」
和馬「(ため息)……あっ、そういえば珠萌さんって、部活、何も入ってなかったよね?」
珠萌「いやいやー。学園探索部に入ってるよ」
和馬「いや、もうそのネタはいいよ。それでさ、お願いがあるんだけど……」
珠萌「おおっ! 和馬君が頼みごとなんて、珍しいね。宜しい。どんな願いでも、一つだけ、聞き流してあげよう」
和馬「聞き流しちゃうんだ……(咳払い)あのさ、珠萌さん。占星クラブに入ってくれないかな?」
珠萌「え?」
和馬「いや、ほら、名前だけでもいいからさ」
珠萌「(冷たい感じで)……なんで?」
和馬「占星クラブを、部に昇格させたいんだよ。そのためには、最低でも部員を三人にしなくちゃならなくてさ」
珠萌「……」
和馬「前に、色々あってね。千愛先輩には、自費でお札とか買わせちゃったから、少しでも穴埋めしてあげたいんだ」
珠萌「当然のことじゃない?」
和馬「え? ……なんのこと?」
珠萌「陰陽師が、妖怪を退治することは、当然のことだよ。それで、お金がかかるとか、そんなの言う方がおかしくない?」
和馬「……珠萌、さん?」
珠萌「(はっとして)なーんて、言ってみちゃったりしてぇ。……どうしようかなぁ? 名前だけでいいの?」
和馬「うん。お願いできないかな?」
珠萌「そーだなぁ。和馬君のお礼次第、ってところかな」
和馬「……ああ。やっぱり、そうなるよね」
珠萌「この前言ってた、お店で、パフェ奢ってよ。それで手を打ってあげる」
和馬「え? そんなのでいいの? 分かった。じゃあ、いつがいい?」
珠萌「今日!」
和馬「いや、今日は……部室の掃除があるから、無理だよ」
珠萌「私も、手伝ってあげる。そしたら、早く終わるでしょ?」
和馬「そんなの悪いよ」
珠萌「いいから、いいから。いくら幽霊部員だからって、一度も部室に行ったことがないって、不味いでしょ」
和馬「……うーん。それじゃあ、手伝ってもらおうかな」
珠萌「OK~。じゃあ、占星クラブの部室に向けて、しゅっぱーつ!」

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