【ボイスドラマ】ワタシの名前は

【ボイスドラマ】ワタシの名前は

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  カチャカチャという、機械を組み立てる音。

フラン「ふう、これで動くはず……」

  パチっというスイッチを押す音。

  ブンっと電源が入る音がする。

クレア「……おはようございます。ご主人様」

フラン「やったあっ! 成功した! 君の名前はクレアだ。よろしくね、クレア」

クレア「クレア……。それがワタシの名前」

フラン「そうだよ、クレア。君は僕が初めて作ることに成功したアンドロイドだ」

クレア「ご主人様、ワタシは何をすればいいですか?」

フラン「ご主人様ってなんか、くすぐったいなぁ。僕のことはフランって呼んでね」

クレア「フラン様、ワタシは何をすればいいですか?」

フラン「様は付けなくても……まあ、いいか。それじゃ、クレア、お掃除してくれない?」

クレア「お掃除?」

フラン「そっか。まだクレアは何も知らないんだね。これから、たくさんのことを覚えていこうね」

クレア「はい。色々教えてください。フラン様」

フラン「まずは掃除の仕方だね。えっと……」

  場面転換。

  カチャカチャと機械を組み立てる音。

  ガチャリとドアが開く。

クレア「フラン様、お掃除、終りました」

フラン「お疲れ様。それじゃ、次は料理を覚えて貰おうかな」

クレア「料理……」

  場面転換。

  テーブルの上に料理の入った皿が置かれる。

クレア「フラン様、できました」

フラン「ありがとう、クレア。それじゃ、さっそく、いただきます」

  ガリっという音。

フラン「うっ……」

クレア「いかがですか? 美味しいですか?」

フラン「……料理は難しいよね。ゆっくり覚えていこうね、クレア」

  場面転換。

  カチャカチャと機械を組み立てる音。

  ドアが開く。

クレア「フラン様、お食事をお持ちしました。今日はシチューです」

フラン「ありがとう、クレア。うわあ、美味しそう。いただきます!」

  フランが一口食べる。

フラン「うん、美味しい! 本当にクレアは物覚えが早いね」

クレア「ありがとうございます」

フラン「待っててね、クレア。もうすぐで二号機が完成するから。そしたら、もう少し楽になるよ」

クレア「二号機?」

フラン「うーん。まあ、妹って感じかな?」

クレア「妹……」

  場面転換。

  カチャカチャと機械を組み立てる音。

  ドアが開かれる。

クレア「フラン様、お食事をお持ちしました」

フラン「ありがとう、クレア。で、どう? ソフィは?」

クレア「問題なく、動いてます」

フラン「あはは。そうじゃなくて、仲良くできてる?」

クレア「仲良く?」

フラン「うーん。その辺の感覚は、まだわからないかな?」

クレア「連携は取れています」

フラン「そうじゃなくて……まあ、いいか」

  場面転換。

  カチャカチャと機械を組み立てる音。

フラン「ふう、さすがに10体は作り過ぎかな」

  ドアがノックされ、開く。

クレア「フラン様、お客様がいらっしゃいました」

フラン「お客さん?」

リチャード「どうも、フラン博士。私は国軍少佐のリチャードと言います。実は折り入って、フラン博士にお願いがあって来ました」

フラン「……軍が、僕に何の用でしょう?」

リチャード「フラン博士の、この素晴らしい才能を軍で活かしていただきたいのです」

フラン「僕は、兵器は作る気はありません」

リチャード「いえいえ、そうではありません。人間の手伝いをするアンドロイドが欲しいのです」

フラン「人間の手伝い?」

リチャード「そうです。兵士たちをサポートする、いわばメイドのような存在です。戦地に女性を送るわけにはいきませんから」

フラン「そういうことでしたら……」

リチャード「ありがとうございます!」

  場面転換。

  カチャカチャと機械を組み立てる音。

  ドアが開く。

クレア「フラン様、お食事ができました」

フラン「そこに置いておいて」

クレア「大丈夫ですか、フラン様。お疲れのようですが」

フラン「平気だよ。それに、リチャードさんから今月までにあと30体のアンドロイドの発注が来たんだ。休んでいられないよ」

クレア「体を壊します。お断りしたらいかがでしょう?」

フラン「いや、いいんだ。誰かの役に立てるアンドロイドを作る。それが僕の夢だったからね」

クレア「誰かの役に……」

フラン「うっ!」

  ドサっと倒れる音。

クレア「フラン様、大丈夫ですか?」

  場面転換。

リチャード「それでは、この初期型をいただいていきます」

クレア「……フラン様」

フラン「ごめんね、クレア。直ぐに新しいのを作るから、それまでみんなの役にたってね」

クレア「わかりました」

  場面転換。

  ザシュっと人を刺す音。

敵兵士「ぐあっ!」

クレア「索敵……。他、敵兵はいません」

リチャード「よくやった。001。では、次の戦場へ向かってくれ」

クレア「ワタシはいつ、フラン様の元に戻れるのでしょうか?」

リチャード「まだまだだ。もっと役にやってもらってからだな」

クレア「……わかりました」

  場面転換。

  銃を撃つ音。

敵兵士「くそっ! このロボットが……ぐあ!」

クレア「残敵ゼロ。任務完了しました」

リチャード「よくやった、001」

クレア「リチャード様、ワタシはいつ、フラン様の元に帰れるのでしょうか?」

リチャード「もう少しだ。もう少し役に立ってもらえれば、帰らせてやる」

クレア「……承知しました」

  ドアが開く。

兵士「リチャード大佐、敵国主要首都グラレドが陥落しました」

リチャード「くっくっく。これで我が軍の勝利は目前だな。アンドロイド隊をさらに進軍させろ」

兵士「その件ですが……どうも博士が感づいたようで。アンドロイドの返還を求めてきています」

リチャード「ちっ! そろそろ潮時か。001、新しい任務だ」

  場面転換。

フラン「いつになったら、クレアたちを返してくれるんですか?」

リチャード「わかりました。今までお借りしていたアンドロイドは全部返しましょう。明日、自宅の方にお届けするので、今日の所はお引き取り下さい」

フラン「わかりました」

  ドアを開く音。

リチャード「やれ」

クレア「はい」

  銃声が響く。

フラン「うっ!」

  ドサっと倒れる音。

  場面転換。

  激しい銃撃戦。

  兵士たちがドンドンと倒れていく。

敵兵士「ぐあああああ!」

グレア「……任務完了」

リチャード「よくやった、001」

グレア「ワタシはいつになったら、戻れるのでしょうか?」

リチャード「もう少しだ。あと少し役に立ったら返してやる」

グレア「フラン様の元へ帰りたい。そして、また、ワタシの名前を呼んでほしい。001じゃない。ワタシの名前は……」

終わり

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