【声劇台本】いきなりラストバトル6

【声劇台本】いきなりラストバトル6

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■概要
主要人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、学園、日常、コメディ

■キャスト

茉奈
その他

■台本

蓮(N)「まったくの無警戒、無防備はいけないが、だからといって何事にも身構えてしまうのも疲れ果ててしまう。そう、頭でわかっていても無意識に警戒するようになってしまった。まあ、この短期間であれほどのことが起こればしかないのかもしれないが……」

女性1「駅前のコンタクトレンズのお店です。ティッシュどうぞ」

蓮「いや、いらないです。すみません……」

  足早に歩く蓮。

男性「あのー、今、少しお時間ありますか?」

蓮「いえ、俺は世界を救うほど暇じゃないので」

  足早に歩く蓮。

女性2「アンケートに答えてもらってもいいですか?」

蓮「勇者に興味はないんです」

  足早に歩く蓮。

蓮(N)「くそう。すべてが奴らの罠に見えてしまう。……いやいや。考え過ぎだ。いくらなんでもすべてが罠なわけがない。落ち着け! ビビるな! 堂々と歩くんだ、俺!」

茉奈「おーっす!」

  後ろからドンと背中を叩かれる。

蓮「ほぎゃーー!」

茉奈「あっはっはっは! ナイスリアクション! こりゃもう、いいね押すしかないね」

蓮「なにすんだ、神崎! 殺す気か!」

茉奈「私……蓮くんを殺せるなら本望だよ」

蓮「……普通、それは殺される側の台詞だ」

茉奈「にしても、蓮くん、なんでそんなビクビクしてんの? ご主人様とはぐれたチワワみたいだよ。……あ、いや、これはチワワに失礼か」

蓮「そんなにか?」

茉奈「だって、背中丸めて小さくなって道の端をキョロキョロしながら歩くって、どう見ても不審者だよ。私なんか、思わず通報しちゃったもん」

蓮「すんなよ!」

茉奈「それはそうとさー」

蓮「……通報したのは冗談だよな? な?」

茉奈「なんでメール返してくれないの?」

蓮「ん? ああ、すまん。ここ最近は来たメールは見ないで削除してんだ」

茉奈「ええ! それってヤバくない? 重要なメールだったらどうすんの?」

蓮「大丈夫だ。俺にメールを送ってくるのはお前か、奴らか、業者しかいないからな」

茉奈「……胸張って言うことかい、それ」

蓮「うるさいなぁ。俺は孤独を愛す男なんだよ」

茉奈「どっちかと言うと、人に愛想つかされた男だよね」

蓮「神崎、お前、俺に喧嘩売りに来たのか?」

茉奈「ふっふっふー。伝説の喧嘩師と呼ばれた、俺のステゴロ見せてやるぜ。……じゃなくて! メールの返事くれないから、直接聞きにきたんじゃん」

蓮「ん? なんか俺に用事あったのか?」

茉奈「いやいや、今度の土曜日、どうしようかと思って」

蓮「土曜日? なんかあったか?」

茉奈「デートだよ。集合の時間と場所、決めてなかったでしょ?」

蓮「……そもそもデートする約束自体してない」

茉奈「はあ? 土曜日っつったらお休みだよ? 恋人同士がそこでデートしないで、いつデートすんのさ!」

蓮「待て待て。その恋人同士って前提が狂ってる」

茉奈「告ってきたの、蓮くんじゃん」

蓮「まだそのネタを引っ張るか」

茉奈「やだー、やだー! デートするのー!」

蓮「駄々をこねてもダメなもんはダメだ」

茉奈「わかった。じゃあ、間を取って、二人で遊びに行こう。それならいいでしょ?」

蓮「デートと変わってねえ」

茉奈「むぅ……。私は蓮くんの命の恩人だよ! いうことくらいなんでも聞きなよ!」

蓮「お前が、いつ、俺の命を救ったんだ?」

茉奈「数日前なのに、もう忘れたの? 梨沙ちーに襲われたときだよ」

蓮「ほほう。俺の記憶では、お前が原因で襲われた上に盾にされただけで、一瞬たりとも命を救われたシーンがないんだがな」

茉奈「じゃあ、土曜日は朝の5時に座敷猫の像の前でいい?」

蓮「記憶を改ざんする上に人の話を聞かないって、どんだけだよ。それに、朝の5時って早くね? 店、どこも開いてねーだろ」

茉奈「開いてるよ。コンビニ」

蓮「デートコースにコンビニ入れんなよ」

茉奈「ええー。じゃあ、蓮くんならどうすんのさ?」

蓮「ん? そりゃ、デートって言ったら、無難に映画館とかじゃねーの?」

茉奈「映画かぁ……。でもさ、なんでデートの定番って映画なんだろうね? 私は断固反対派だな」

蓮「どうしてだ?」

茉奈「だって、デートだよ? なんでわざわざ話せない場所にいかないとなんないのさ? デートだったらいっぱい話せるところのほうがいいんじゃない?」

蓮「まあ、一理あるっちゃあるな。けど、ほら、一緒の空間にいられるとか、映画見た後はそれについて話せるだろ? 共通の話題を作れるって意味ではありなんじゃないか?」

茉奈「でもさ、それだったら事前に、お互いこの映画見ておこう、でよくない?」

蓮「……宿題みたいで嫌だな」

茉奈「それに共通の話題を作るとか一緒にいられる空間に行くんだったら、ネズミの夢の国とかあるじゃん」

蓮「学生にはちと、キツイだろ。金銭的に」

茉奈「うーん。じゃあ、山で一緒に修行する……とか?」

蓮「修行デートってマニアック過ぎるだろ。バトル漫画の主人公だってしねーよ」

茉奈「……はっ! 意外とデートって難しい。険しいかなデート道」

蓮「いやいや、重く考えすぎだろ。もっと気楽でいいと思うぞ。たとえば、一緒に行きたい場所とかさ」

茉奈「私、蓮くんと一緒に天国に行きたい」

蓮「……気軽にフラッと行ける場所じゃねえし、デートで心中って重すぎるだろ」

茉奈「ちょっと待った!」

蓮「どうした? いきなり」

茉奈「そもそも、前提が間違ってるよ」

蓮「なにがだ?」

茉奈「デートコースってさ、男が考えるもんじゃね?」

蓮「……痛いところ突くな、お前」

茉奈「これって、単に蓮くんの怠慢だよね。そのへん、男としていかがですか? 生きてて恥ずかしくないですか?」

蓮「なんで俺が、そこまで責められないといけないんだよ」

茉奈「はっはーん。見えちゃった。そっかそっか。蓮くん、自信ないんだね?」

蓮「……なに?」

茉奈「あれでしょ? よく人にはダメだしするけど、いざ、自分がやろうとしても全然できない人とかいるよね」

蓮「ば、馬鹿野郎! そんなわけねーだろ。ふん、デートコースなんて余裕だっての」

茉奈「はいはい。そうですね。蓮くんはすごいですね」

蓮「くそ、全然、信じてねーな」

茉奈「そりゃ、実績がありませんからねー」

蓮「実績?」

茉奈「ズバリ! 蓮くん、デートしたことないでしょ?」

蓮「うっ! そ、そりゃねーけど……」

茉奈「はー……。経験ゼロなのに、あの上から目線。ふう、典型的なアレのタイプだよね」

蓮「ざっけんな! デートくらい初でも余裕だっての!」

茉奈「はいはい。口ではなんとも言えますから」

蓮「見てろ、神崎! 俺が完璧にデートコースを計画してみせるぜ」

茉奈「言っとくけど、映画館はなしだよ?」

蓮「え? ……なし、なのか?」

茉奈「もっと蓮くんとお話できるところがいい」

蓮「我がまま言うなよ」

茉奈「相手の希望も盛り込んでこその、完璧なデートコースじゃないの?」

蓮「うっ!」

茉奈「ありゃりゃ。蓮くんにはハードルが高すぎたかな?」

蓮「ふん。そんなことはない。いいぜ。たくさん話せるところだな?」

茉奈「お手並み拝見ってところだね。じゃあ、土曜日は何時に、どこで待ち合わせ?」

蓮「そうだな。さすがに5時は早いから、10時にしよう。場所は座敷猫の像の前で」

茉奈「おっけー! じゃあ、土曜はよろしくー」

  茉奈が走っていく。

蓮「首洗って待っとけや!」

蓮(N)「こうして俺は土曜のデートに向けて完璧な計画を練ることになった。……ん? あれ? なんか嵌められた気もしないような気もするが、まあいいだろう。この勝負、受けてたってやろうじゃねーか」

終わり

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