【声劇台本】スパーク

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
誠太郎(せいたろう)
母親
その他

■台本

テレビの音が流れている。

アナウンサー「さて、3年の脳の休止状態からの復帰ということなんですが、こんなことあり得るんですか?」

専門家「そもそも、脳の休止状態は過度なストレスによって……」

目覚まし時計が鳴る。

誠太郎「はっ! も、もう朝か……。うう。寝ちゃった。朝になるから嫌だったのに」

目覚まし時計を止める誠太郎。

専門家「脳に関してはまだまだ解明されていないことが多いんです。一説では普通の人間は脳の機能の2割程度しか使用されていないんです。それが、あるきっかけで活性化するという説です」

アナウンサー「あるきっかけ……というのは?」

誠太郎「……」

専門家「ストレスなどの心の負荷です。ストレスが溜まり過ぎると脳がスパーク状態に陥り、脳が覚醒する……」

ガチャリとドアが開き、母親が入ってくる。

母親「誠太郎。ほら、もう学校行く時間よ!」

誠太郎「お母さん……。僕、学校、休んだらダメかな?」

母親「何言ってるのよ。バカなこと言ってないで、早く準備しなさい」

誠太郎「……はい」

場面転換。

トボトボと歩いている誠太郎。

後ろから少年たちがやってくる。

少年1「よお、誠太郎。今日も学校に来たな。偉い偉い」

少年2「偉いから、俺たちのカバンを持たせてやろう」

誠太郎「うう……」

少年1「ほら、さっさと持てよ!」

誠太郎「ご、ごめんなさい」

少年2「ったく、トロくさいな」

少年1「よし! 早く動けるように、体を軽くしよう」

誠太郎「え?」

少年1「服脱げ! そしたら早く動けるようになるだろ?」

少年2「あははははは! それいい! おら、早く脱げよ! 全裸だ! 全裸!」

誠太郎「い、嫌だ! 嫌だよ……」

少年1「おっと、俺たちに逆らうのか?」

少年2「じゃあ、罰が必要だな」

誠太郎「や、止めてよ!」

少年1「おらあ!」

少年1が誠太郎を殴り、誠太郎が倒れる。

誠太郎「うわっ!」

少年2「ほらほら、さっさと立てよ1 次、俺の番なんだからさ」

誠太郎「……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

少年1「ああ? ほら、立てって!」

誠太郎「うう……。目の前が暗くなって」

少年2「あれ? 動かなくなったぞ」

少年1「おーい、誠太郎くん?」

誠太郎「……」

そのとき、バチっという電気が流れるような音が響く。

誠太郎「あれ? 力が……溢れてくる」

少年1「お、立ち上がったか」

少年2「よーし、じゃあ、次は俺だ!」

ガッという固いものを殴るような音。

少年2「痛いっ!」

少年1「え? なんで、殴ったお前の方が痛いんだよ?」

誠太郎「凄い。これなら……」

少年1「え? ちょっ、ちょっと待てよ」

誠太郎「はあっ!」

誠太郎が少年1を殴り、少年1が吹き飛ぶ。

少年1「うげっ!」

少年2「え? え? なんで、誠太郎がそんなに強いんだよ?」

誠太郎「次はお前だ」

少年2「ごめん。止めて! お願い!」

誠太郎「お前、さっき、僕がそう言ったのに止めてくれなかっただろ!」

少年2「うう、ごめん! ごめんね!」

誠太郎「はああ!」

少年2「うげええ!」

誠太郎が少年2を殴り、少年2が吹き飛ぶ。

少年1「うう……痛い。うえーん!」

少年2「痛い! 痛いよー。ママ―」

誠太郎「……凄い。今なら僕、何でもできそう。……でも、なんで?」

回想。

専門家「脳がスパーク状態に陥り、脳が覚醒する……」

回想終わり。

誠太郎「そっか。これがスパークなんだ!よーし! 僕はこの力を正義に使う!」

場面転換。

少年3が少年4に追いかけられてる。

少年3「や、止めてよ!」

少年4「うるせー、待てって言ってんだろ」

誠太郎「おい! お前! 止めろ!」

少年4「あん? なんだお前?」

誠太郎「イジメなんて止めろ! 僕が許さないぞ!」

少年4「うるせー! お前から殴ってやる」

誠太郎「はああ!」

少年4「うげええ!」

誠太郎が少年4を殴り、少年4が吹き飛ぶ。

誠太郎「君、大丈夫?」

少年3「助けてくれて、ありがとう」

誠太郎「ううん。いいんだよ。もし、またイジメられたら、僕を呼んで。僕がまたやっつけてあげるから」

少年3「うん! ありがとう! 誠太郎くんは、僕のヒーローだよ!」

誠太郎「ふふふ! そう! 僕は正義の味方なんだ!」

場面転換。

誠太郎「イジメっ子は、全員僕がやっつけてやる! はああああ!」

少年5「うわああああああ!」

少年5が誠太郎に殴られ吹き飛ぶ。

誠太郎「……いじめっ子、やっつけるのも飽きて来たな。もっと、こう、世界を救うようなことをしたいな」

その時、頭上から隕石が落下してくる。

爆発音が響く。

誠太郎「うわ、な、なんだ?」

怪人「くくくく! あはははは!」

誠太郎「い、隕石から怪人が出てきた?」

怪人「クケケケケ! 今日から、俺が地球の支配者だ! 人間どもは全滅させてやる」

誠太郎「待て!」

怪人「なんだ、貴様!」

誠太郎「地球は僕が守る!」

怪人「それじゃ、お前から血祭りにあげてやる! うおおお!」

誠太郎「はああああああ!」

場面転換。

脳波を図る機械の、ピッ、ピッ、ピッという音が響く。

母親「せ、誠太郎はどうなるんですか?」

医師「脳の休止状態ですね」

母親「どうして、こんなことに……」

医師「過度なストレスによるものですね。いわば、自己防衛といったところです」

母親「……ストレス?」

医師「息子さん、何か言ってませんでしたか?」

母親「そ、そういえば学校に行きたくないって……」

医師「……学校でいじめがあったのかもしれません」

母親「そんな……。うう……。ごめんね! ごめんね、誠太郎! お母さんがちゃんと話を聞いてあげれば……」

医師「……」

母親「うわああああ!」

終わり。

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