【声劇台本】因果応報
- 2021.10.28
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
勝巳(かつみ)
陽菜(はるな)
美玲(みれい)
真(まこと)
■台本
勝巳(N)「イケメンは不幸になればいい。大した努力もしないで、女の子にモテる。そんなのは理不尽だ。俺は今まで、物凄く努力してきた。髪型、服装、話術、行動の仕方などなど、例をあげたらきりがないほどゲームや漫画で勉強してきた。それなのに、女の子から告白されたことなんてない。許せねえ……。イケメンを不幸にするためなら、俺はどんな苦労だってできる」
ザックザックザックと土を掘る音。
勝巳「ふう。完成だ。あとは用意した看板を立ててっと。……おっ! さっそく来たぞ」
二つの足音が近づいて来る。
男「ここからの風景が凄い綺麗でさ。君に観てもらいたいって思ってたんだ」
女「えー、ホント? 嬉しい!」
男「君だから教えるんだよ。ここを知ってるのは俺と君だけだから、みんなには内緒だよ」
女「うん!」
男「おっと、こっち側の道は工事中か。しかたない、こっちから行こう」
二人が歩いていると、ズドっと落とし穴にはまる。
男「うわあああ!」
女「きゃああ!」
男「なんで、こんなところに落とし穴があるんだよ!」
勝巳(N)「くっくっく。大成功。やっぱりな。ここの丘は夜景が綺麗だから、ナンパ野郎がよく来るんだよな。また一人、ナンパなイケメン野郎を成敗してやった。……ここは使えるな。あとで、落とし穴を仕掛け直しておこう」
場面転換。
学校のチャイム。
美玲「ねえ、陽菜、明日の休みだけど、暇? どこか遊びに行かない?」
陽菜「うん、いいよ。一日、予定ないし。美玲はどこか行きたいとこある?」
美玲「んーっとねぇ……」
勝巳「あっ! なんだよー。約束、断られたよ。あーあー、明日は暇になっちゃったなぁ」
美玲「……」
陽菜「……」
美玲「ね、ねえ、陽菜。今の、勝巳くんの独り言だよね?」
陽菜「う、うん。そうだと思うけど……」
勝巳「……明日は、家にいたくなかったんだけどなぁー。どうしようかな。誰か、誘ってくれいないかなー」
陽菜「……」
美玲「……」
陽菜「さ、誘って欲しいのかな? チラチラこっち見てるし」
美玲「いやよ、私。勝巳くんと友達ってわけじゃないし。誘っても、なに話していいかわかんないもん」
陽菜「そ、そうだよね……」
勝巳「……あー、そうだ。あいつを誘おうかな。これから連絡してみようかな。今なら、まだ連絡する前だから、誘ってくれたら、そっちに行くんだけどなー」
陽菜「……」
美玲「……」
陽菜「ね、ねえ、美玲。明日、映画行かない?」
美玲「映画? ああ、いいね。行こう行こう」
勝巳「あー、そういえば、俺、結構、映画詳しいんだよね。映画ランキングとか毎週チェックしてるし」
美玲「……」
陽菜「……」
美玲「絶対、こっちの話してる会話聞いてるよね?」
陽菜「……後で、話そうよ」
美玲「そ、そうだね……」
真「え? なになに? 明日、映画行くの?」
美玲「あ、真くん」
真「もしさ、デッドスペース観に行くなら一緒に行かない? 見たいと思ってたんだけど、一人じゃちょっとさー」
美玲「あー、わかるわかる。映画って一人だとちょっと行くの面倒になるよね」
真「そうそう。こういうきっかけがないとさ。……陽菜さんは、いや、かな? 俺が一緒だと」
陽菜「ううん。そんなことないよ」
真「ありがとう! じゃあ、お礼に明日はポップコーン奢るよ」
美玲「えー、そこは映画代でしょ!」
真「いやいやいや。それは勘弁してよ! 俺が映画観れなくなる」
美玲「あはははは」
陽菜「ふふふふ」
ギリっと歯ぎしりの音。
勝巳「あの野郎……。俺が先に誘ってもらうはずだったのに! 邪魔しやがって! 俺なら映画代くらい奢れるのに! くそ! くそ! くそ! これだからイケメン野郎は許せねえんだ! こうなったら、俺もあいつらの邪魔をしてやる……」
場面転換。
映画館から3人が出てくる。
真「うん、やっぱり面白かったね、デッドスペース」
美玲「うんうん。最後はやられたよねー。まさか、あそこで主人公が出て来るなんてさ」
真「映画観た後の感想を言い合えるっていいよね。また、誘っていいかな?」
美玲「うん! もちろん! ね? 陽菜」
陽菜「うん……。また真くんと行きたいな」
美玲「だってさー、よかったね、真」
真「ありがとう。そう言って貰えて嬉しいよ」
陽菜「……」
ギリっと歯ぎしりをする勝巳。
勝巳「ふざけんな! ふざけんな! 陽菜ちゃんを先に好きになったのは俺だし、話したのも俺の方が先だぞ! ……絶対に許せねえ。どっかでペイント弾を当てて、恥かかせてやる!」
場面転換。
3人が並んで歩いている。
真「2人はまだ時間は余裕あるの? よかったら、もう少し3人で遊ばない?」
美玲「ふふふふ。3人でいいの?」
真「な、なんだよ、美玲」
美玲「ごめん、陽菜。私、用事あるから、もう帰るね。陽菜はもう少し真くんと遊んでいきなよ」
陽菜「え? あ、う、うん……。いいの?」
美玲「いいのいいの。明日、色々話聞かせて。じゃあね」
美玲が走って行く。
真「行っちゃった……」
陽菜「あ、あの。私は……その、まだ大丈夫だけど」
真「そう? それじゃどうしようかな。ねえ、よかったら、陽菜さんのこと色々知りたいから、おしゃべりできるところがいいんだけどいいかな?」
陽菜「う、うん」
真「あ、そうだ。町が綺麗に見えるところがあるんだけど、そこに行かない?」
陽菜「うん、行く」
勝巳「よし、人気の無さそうなところに行くんだな。チャンス!」
場面転換。
勝巳が走っている。
勝巳「くそっ! 見失った! どこ行った? こっちの方に来たのはわかってるんだけど……。あー、もう! イライラするなぁ!」
立ち止まって。
勝巳「ん? 工事中? なんだよ! 面倒くさいな! こっちに行けってか!」
走り出す勝巳。
勝巳「う、うわーー!」
落とし穴にはまる勝巳。
勝巳「あー! もう! なんで、こんなところに落とし穴があるんだよ! なんなんだよ、もう! くそ! くそ! くそ! ついてねえ! 女の子に誘ってもらうのも邪魔されて、俺が先に好きになった子も取られて、落とし穴にもはまるなんて……。人生、不公平だ!」
終わり。
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