【フリー台本】海を満喫して

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■概要
人数:3人
時間:5分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
はる
凛(りん)
寛人(ひろと)

■台本

凛「ねえねえ、はなは夏休み、どこに行きたい?」

はな「凛ちゃんたちと一緒なら、どこでもいいよ」

凛「ダメダメ! そうやっていつも、自分を押し殺すんだから。たまには我儘言いなよ」

寛人「そうだよ。俺達、親友だろ? なら、言いたいことを言ってくれよ」

はな「……別に本音を言ってないわけじゃないんだけど。えっと……じゃ、じゃあ、久しぶりに海に行きたいな」

凛「海? へー。はなにしては珍しいチョイスをしたわね」

はな「うん。最近はずっとプールだったから、海で思い切り泳ぎたいなって思って」

凛「オーケーオーケー! よし! 今年の夏休みは海を満喫するわよ!」

寛人「じゃあ、俺がバッチリ、海を満喫できる最高のプランを練ってやるぜ!」

凛「あ、私も一緒に練るわ。あんたに任せてたら、最悪なプランになるに決まってるから」

寛人「なんだよ、そりゃ!」

はる「べ、別にそんなに気合入れなくていいよ。普通に遊びに行くだけで……」

凛「海って言ったら、やっぱ、猟は欠かせないわよね? 銛を用意しておかなくっちゃ」

寛人「いやいや。あぶねーし、マニアック過ぎるだろ。もっと、三人で楽しめるやつがいいんじゃないか?」

凛「あ、そっか。じゃあ……」

はる「ふふっ。楽しみだな」

場面転換。

海の波の音と、観光客のはしゃぐ声。

寛人「ばばーん! やってきたぜ、海!」

凛とはるがやってくる。

凛「あんた、はしゃぎすぎー」

はる「あんまり大声出すと周りに迷惑かけちゃうよ」

寛人「よし! それじゃ、さっそく、海を満喫プランを開始するぞ」

凛「おー!」

はる「お、おー……」

寛人「まずは準備運動だ」

凛「いきなり、地味ね」

寛人「おいおい。海で油断するとやられるぞ。楽しむためには、準備体操は欠かせないからな」

はる「うん。そうだね」

凛「はいはい」

寛人「はいっ! 1、2、1、2」

凛「……別に掛け声はいらないでしょうが」

場面転換。

寛人「体はしっかりほぐれたな? じゃあ、次はスイカ割りだ!」

はる「え? スイカ割り?」

凛「そうそう。やっぱり、海って言ったらスイカ割りだよね」

はる「そ、そうかな……?」

凛「だって、ほら、漫画とかアニメとかでも、海に行ったら、スイカ割りしてるじゃない」

はる「現実じゃ、あんまりやらないと思うけど……」

寛人「よし! 用意できたぞ!」

はる「ええー」

場面転換。

寛人「いやいや。さすがはる。見事な一撃だったな」

凛「はるが本気になってくれて、嬉しいよ」

はる「……早く終わらせたかったから。……うう、恥ずかしかった」

寛人「よし、次はビーチバレーだ!」

はる「ビーチバレー?」

凛「やっぱ、ビーチでやると言ったら、ビーチバレーだよね」

はる「……」

場面転換。

はる「はあ、はあ、はあ……」

寛人「へへ! 優勝!」

凛「ったく、元バレー部が本気出してんじゃないわよ」

寛人「じゃあ、次はビーチフラッグだ!」

はる「び、ビーチフラッグ!?」

凛「ほら、ビーチってついてるし。とりあえず入れて置こうかなって」

はる「……」

場面転換。

ぱたりと倒れる音。

はる「もう動けない……」

寛人「くそー! 負けちまったか」

凛「ふふ。球技じゃなければ、負けないわよ」

はる「ね、ねえ。疲れたから、ちょっと休憩しない?」

寛人「そうだな。じゃあ、休憩がてら、砂の城を作ろう」

はる「え?」

凛「ほら、もう時間もなくなってきたし、プランを進めないと、ね」

はる「う、うん……」

場面転換。

寛人「ふっふっふ……。完成だ」

凛「途中で火が付いちゃって、思いがけず大作になったわね」

はる「周りからも歓声があがってたもんね」

寛人「うーん。持って帰りたいくらいだぜ」

凛「んなことできるわけないでしょ。ほら、じゃあ、最後に3人で記念撮影して帰るわよ」

寛人「おう!」

はる「……」

場面転換。

凛「いやあ、この前の海はホント楽しかったね」

はる「そ、そうだね……」

寛人「頑張って、プランを練った甲斐があったぜ」

はる「……」

凛「はる? どうかしたの?」

はる「いや、その……。海は楽しかったけど……」

寛人「けど?」

はる「……一回も海に入らなかったなって」

寛人「……」

凛「……」

寛人・凛「しまった!?」

終わり。

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