どうしたらいいの!?

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
海星(かいせい)
男子生徒1~2
女子生徒1~2
母親
祖母

■台本

赤ちゃんの泣き声。

祖母「あらあら。随分と細い赤ちゃんだねぇ。なにかあったら大変だよ。大事に育てないと」

母親「……そうですね。この子は大事に、危険に近づけないように育てます」

海星(N)「僕は生まれた時、未熟児ギリギリだった。だから、家族のみんなは僕になにかあれば、すぐに死んでしまうと思い込んでいたようだ。……それで、僕は危ないことから遠ざけられ、極力、家で過ごしていた」

場面転換。

教室内。

ホームルームが終わり、みんなが帰ろうとしている。

海星「……」

男子生徒1「なあなあ、帰りにカラオケに寄ってかない?」

男子生徒2「お、いいねー! なあ、海星。お前も行かね?」

海星「え? あ、いや、僕はすぐ帰らないといけないから」

男子生徒2「そうなの? そういや、お前、いっつも真っすぐ帰ってるけど、なんかあるの? 塾とか?」

海星「……いや、特にそういうんじゃないけど、親には学校が終わったら真っすぐ家に帰りなさいって言われてるから」

男子生徒1「あははは。いや、小学生じゃないんだから。俺たちもう高校生だぜ? たまには遊んで帰ってもいいだろ」

海星「……」

男子生徒2「ま、強制はしないよ。もし、来たくなったら、言ってくれよ」

海星「……ありがとう」

場面転換。

一人トボトボと通学路を歩いている海星。

海星「……そうだよな。もう、高校生だもんな。風邪ひいて死にそうになるなんてこともなくなったし、これからはもう少し友達と遊んでもいいよね」

場面転換。

ホームルームが終わった教室内。

みんながガヤガヤと話している。

男子生徒1「よっしゃー! 明日から夏休みだー!」

男子生徒2「おおおお!」

女子生徒1「ねえねえ、せっかくだからさ、みんなで肝試しとかしない?」

男子生徒1「さんせー!」

男子生徒2「いいねいいね! ……海星はどうする?」

海星「……行く」

男子生徒2「え?」

海星「今回は、僕も参加してみようかな。いい?」

男子生徒2「おう。来い来い! こういうのはみんなで騒いだ方が楽しいんだ」

海星「うん」

場面転換。

廃墟をゾロゾロと歩く生徒たち。

女子生徒1「ねえ……。ちょっとガチ過ぎない?」

女子生徒2「そうだよ。こんな、ガチの廃墟に来なくたってさ……」

男子生徒1「俺も後悔してる」

男子生徒2「普通に夜の神社とかにしとけばよかったな」

女子生徒1「ねえ、帰ろうよ」

男子生徒1「うん。帰ろう帰ろう」

みんなが振り返る。

海星「……」

女子生徒1「きゃあああああ!」

男子生徒1「うぎゃああああ」

海星「え?」

女子生徒2「お化け―」

男子生徒2「いや、落ち着けって……」

男子生徒1「出たー」

男子生徒1が走り出す。

女子生徒1「ちょっと、待ちなさいよ!」

女子生徒2「待ってよー」

女子生徒たちも走り去っていく。

海星「……どういうこと?」

男子生徒2「あー、いや、お前の顔があまりにも青白かったから、ビビっただけだと思う」

海星「……そんなに青白いかな?」

男子生徒2「うーん。もう少し日焼けした方がいいかもな」

海星「日焼け……」

場面転換。

セミの鳴く声。ジリジリと差し込む日差し。

海星「よし……。日焼けするぞ」

場面転換。

夜の神社。

男子生徒1「よーし。じゃあ、肝試しの仕切り直しだ。境内のところに札を置いておいたから、それを取ってくること」

女子生徒1「うーん。でも、思ったより暗いね。ちょっと怖いかも」

女子生徒2「懐中電灯ないと、真っ暗でなんも見えないね」

男子生徒2「一組に懐中電灯は一つだからな。持ってる奴は相手を置いてったりするなよ」

男子生徒1「はははは。大丈夫だって。ただ暗いだけじゃん。こんなの怖いわけないって」

女子生徒1「そ、そうそう。子供じゃないんだしね……」

海星「そうだよね」

男子生徒1「え? 今、どこから声したんだ?」

女子生徒1「さあ?」

海星「……ここだよ」

女子生徒2「え? え? え?」

ポンと女子生徒2の肩を叩く海星。

海星「ここだってば」

女子生徒1・2「ぎゃあああああああ!」

男子生徒1「うわああああああ! 出たー!」

女子生徒1、2、男子生徒1が逃げていく。

海星「……どういうこと?」

男子生徒2「あー、いや、海星、お前焼きすぎだ。真っ黒じゃねーか。だから、暗闇に同化してるように見えたんだよ」

海星「そ、そうなの……?」

男子生徒2「今度は明るいうちに遊ぼうぜ」

海星「う、うん」

場面転換。

グラウンドでサッカーをしている生徒たち。

男子生徒1「それ、パス」

海星「はあ、はあ、はあ、はあ……」

男子生徒2「よし、今だ走れ!」

男子生徒1「うおおおおお!」

海星「はあ、はあ、はあ、はあ……」

サッカーをしているみんなの足音。

海星「はあ、はあ、はあ、うわっ!」

海星が転ぶ。

男子生徒2「大丈夫か、海星」

海星「へ、平気……おええええええ!」

海星が吐く。

男子生徒1「おい、大丈夫か?」

海星「だ、大丈夫……」

男子生徒2「いや、無理すんなって。少し休んでろよ」

海星「はあ、はあ、はあ……。でも、僕、まだボール蹴ってない……」

男子生徒2「うーん。海星。人には得手不得手っていうのがあるんだ。だから、無理して人に合わせなくていいんだぞ?」

海星「……けど」

男子生徒2「海星は何が得意なんだ?」

海星「……ゲーム、かな?」

男子生徒2「なら、ゲームを頑張ればいいんじゃないか? その方が海星も楽しいだろ?」

海星「う、うん……」

場面転換。

海星の部屋の中。

海星がゲームをしている。

するとドアが開いて、母親が入ってくる。

母親「またゲームしてるの?」

海星「うん……」

母親「はあ……。あんたねぇ。せっかくの夏休みなんだから、少しは外出て、友達と遊びなさい!」

海星「……もう! なんなんだよ!」

海星(N)「誰か教えて欲しい。僕は一体、どうすればいいの?」

終わり。

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