魔人の願い事

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、シリアス

■キャスト
アラン 48歳
魔人

■台本

アラン(N)「俺は長年、あるものの発掘をしている。正直に言って、俺はこの発掘に人生を捧げてきた。だが、それに値する。発掘に成功すれば、すべては逆転できるのだ」

ザクザクと土を掘る音。
そして、ガキっと金属に当たる音がする。

アラン「っ!?」

手を止めて、金属を手で堀起こす。

アラン「……やった。ついに……。俺は……」

アラン(N)「俺は発掘に成功した。その発掘に成功したのは……魔法のランプだ」

アラン「……さあ、出でよ、魔人。俺の願いを叶えてくれ!」

アランがランプを擦る。
すると、ドロンという音を立てて、魔人が現れる。

魔人「……アランか」
アラン「おお、魔人よ。俺の願いを叶えてくれ」
魔人「……どうだ? 欲は消し去ることはできたか?」
アラン「何を言っている? それより、願いを叶えてくれ」
魔人「……わかった。では、3つ願いを叶えてやろう」
アラン「よし、ではまず1つ目だ。まずは若返らせてくれ。お前を掘り当てるための20年。それをリセットしたい」
魔人「……わかった。では、20歳、若返らせてやろう」

光が広がるような音。

アラン「お、おお……」
魔人「若返らせたぞ。では、次の願いを言え」
アラン「つ、次は金だ! 一生かかっても、使いきれないほどの金をくれ!」
魔人「……わかった」

光が輝く音。
チャリンチャリンと財宝が出現する音。

アラン「お、おおおおお! すごい」
魔人「願いを叶えたぞ。では、最後の願いを言うがよい」
アラン「……で、では、最後の願いを言うぞ」
魔人「……」
アラン「一生、願いを叶え続けてくれ!」
魔人「……はあ」
アラン「どうした? なんでもと言ったのはお前だぞ」
魔人「……そのような願い、本当に通ると思っているのか?」
アラン「知らん! お前は何でもと言った! 絶対に、叶えてもらうぞ!」
魔人「それだと、3つとした意味がないのだがな」
アラン「それはそっちの都合だろ。ダメならダメと最初に言うべきだ」
魔人「……わかった。その願いを叶えよう」
アラン「よし!」
魔人「ただ、私の願いも一つ叶えさせてもらおう」
アラン「なんだと?」
魔人「あり得ない願いを叶えようというのだ。こちらの譲歩に、そなたも応えてほしい」
アラン「……」

アラン(N)「……まあ、いい。どんな願いでも、俺の願いで、その願いを無効してくれと言えばいい。どちらにしても、俺が有利なのは変わらないだろう」

アラン「いいだろう。さあ、願いを言え」
魔人「では……。そなたが、ランプを見つけなかったことにさせてもらいたい」
アラン「……え? ちょ、ちょっと待って……」

光が広がる音が響く。

場面転換。
ザクザクと土を掘る音。

アラン(N)「俺は長年、あるものの発掘をしている。正直に言って、俺はこの発掘に人生を捧げてきた。だが、それに値する。発掘に成功すれば、すべては逆転できるのだ」

終わり。

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