厨二病の末路

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:5人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
斗亜(とあ)
男子生徒1~2
女子生徒1~2

■台本

斗亜(N)「俺は特別な人間だ。だが、そのことは俺しか知らない。まあ、当たり前だ。なぜなら、俺はまだ本気を……能力を出していないからだ。だが、そろそろ、俺の力をみんなに見せてやってもいいと思っている」

教室内。

男子生徒1「なあ、斗亜。お前、体育祭は何の競技にする?」

斗亜「ふむ……そうだな」

男子生徒2「斗亜は卓球とかいいんじゃないか?」

斗亜「む? 卓球だと? 地味じゃないか?」

男子生徒1「いや、卓球、いいかも」

斗亜「なぜだ?」

男子生徒2「卓球なら、転んで怪我とかしないだろうし、会場の隅っこでやるから目立たないもんな」

男子生徒1「そうそう」

斗亜「しかしだな……」

女子生徒1「斗亜くん、そうしなよ」

斗亜「……みんなはそんなに俺に活躍してほしくないのか?」

女子生徒2「えー、だってさ、斗亜くんが他のクラスから笑われるのって、なんか嫌だから」

男子生徒1「そうそう。斗亜が頑張ってるのに、それを知らない奴らはすぐ笑うからな」

男子生徒2「なんか、ムカつくよな」

斗亜「そんなことにはならない。この右手の封印を解けば、優勝間違いなしだ」

女子生徒1「ダメだよ、斗亜くん。その封印はそのままにしとかないと」

男子生徒1「だな。体育祭なんかで使うもんじゃないぞ」

男子生徒2「そうそう。世界を危険にしてまで、体育祭、優勝したくないし」

女子生徒2「ふふふ。そうだよ」

斗亜「……」

斗亜(N)「いつもそうだ。俺はみんなから舐められている。なので、俺は一段階、高みに登ることにした」

場面転換。

斗亜の部屋。

シュルシュルと包帯を巻く音。

斗亜「ふっふっふ。これを見れば、俺を見る目が変わるだろう。血のりもばっちり塗ったし、インパクト大だ」

場面転換。

朝。教室内。

生徒たちが雑談している。

そんな中、ガラガラと教室のドアが開く。

斗亜が入って来る。

斗亜「……くっ!」

斗亜を見て、教室内がシーンと静まり返る。

斗亜(N)「ふっふっふ。やはりな。顔に包帯を巻く。これ以上のインパクトはないだろう。顔にまで、魔力が増幅したとなれば、みんなもビビるだろう」

教室内の生徒たちが一気に集まって来る。

女子生徒1「斗亜くん、どうしたの? その顔?」

男子生徒1「包帯グルグルじゃねーか」

女子生徒2「……大丈夫なの?」

斗亜「案ずるな……これは……」

男子生徒2「許せねえ」

斗亜「へ?」

男子生徒2「それ、B組の奴にやられたんだろ?」

斗亜「え? いや、ちが……」

女子生徒2「もしかして、望月?」

男子生徒1「あいつ……斗亜をバカにするだけじゃなくて、ついに手を出しやがったか」

斗亜「いやいや、違うって……」

男子生徒2「口止めされたんだろ?」

斗亜「そうじゃなくて」

女子生徒2「みんな、このまま、斗亜くんがやられっぱなしでいいの?」

男子生徒1「いいわけねー!」

斗亜「いや、待ってくれって!」

男子生徒2「斗亜は心配しなくていいよ。これはA組全体の問題だ。やるぞ、みんな!」

一同「おー!」

斗亜(N)「なんでこうなる? 俺はただ、みんなを驚かせたかっただけなのに……」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉