ハマってないから!
- 2023.10.09
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
唯斗(ゆいと) 21歳
要(かなめ) 21歳
颯太(そうた) 21歳
美代(みよ) 21歳
■台本
大学の研究室。
唯斗と要と颯太と美代がトランプをやっている。
唯斗「俺、エースのツーペア」
颯太「残念、俺、4のスリーカード」
要「悪いな。俺は6のスリーカード」
美代「ふっふっふ。じゃじゃーん! 私、ストレートフラッシュ」
唯斗「ええー!」
颯太「マジかよ」
要「いや、絶対、イカサマだろ」
美代「へっへーん! それじゃ、見破ってみなさいよー」
唯斗「美代の場合は、ガチのリアル運の可能性が高いからな」
颯太「そうそう。イカサマできるほど器用じゃないし」
美代「なによそれ! 褒めてないでしょ!」
要「それより、これで、唯斗が一番の負けだな」
唯斗「うっ!」
美代「じゃあ、私が罰ゲーム決めれるんだよね」
唯斗「お手柔らかに頼むな」
美代「えーっとぉ……」
唯斗「……」
美代「決めた!」
要「なんだ?」
美代「スカイダイビング」
唯斗「いや! それはないって! マジで!」
颯太「いいな。スカイダイビングか。俺もやってみようかな」
唯斗「なら、颯太がやればいいだろ。俺はパスだ」
美代「ダメだよ。これは唯斗の罰ゲームなんだから」
唯斗「……」
要「そうそう。諦めろ、唯斗」
唯斗「いーやーだー! スカイダイビングなんて、ぜーーーったい嫌だ!」
美代「まあまあ。やってみたら、ハマるかもよ」
唯斗「ないね! 100パーセントない!」
要「んなこといっても、お前、嫌がりながら、アレにハマってたよな」
颯太「ああ、ジェットコースターな」
唯斗「いやいやいや! ハマってたわけじゃないって! あれは仕方なく何度も乗っただけ!」
美代「確か、バンジージャンプもハマってたよね?」
唯斗「だーかーら! あれも、仕方なくだよ! てか、お前らがやらせたんだろ!」
美代「たぶん、スカイダイビングもハマるよ」
唯斗「話を聞け!」
場面転換。
ヘリコプターの中。
唯斗「うう……」
美代「ほら、情けない顔しないの」
唯斗「やっぱ、止めない?」
要「何言ってるんだよ。キャンセル料かかるだろ」
唯斗「なら、せめて、お前らもやれよ!」
颯太「いや、一人分しか払ってないし」
唯斗「くそ……。いやだ。なんで、俺だけ、こんな目に……」
美代「賭けに負けるのが悪い!」
唯斗「うっ!」
美代「じゃあ、いってみよー!」
ガラッとヘリのドアが開く。
唯斗「いや、ちょっと待って!」
美代「いってらっしゃいーい」
唯斗とインストラクターがヘリから飛び降りる。
唯斗「ぎゃああああああああ……」
唯斗の声が小さくなっていく。
場面転換。
地上。
唯斗「うう……」
美代「どうだった?」
唯斗「最悪だよ! もう、絶対にやらん!」
要「はははは。確か、ジェットコースターやバンジージャンプのときもそう言ってたよな」
唯斗「今回はマジだ! あんなの、もう、二度とごめんだ!」
颯太「ふーん」
場面転換。
大学内。
美代、要、颯太が話している。
美代「ははは。言えてるー」
要「それは颯太が悪いな」
颯太「なんでだよ!」
そこに唯斗がやってくる。
唯斗「おい! お前ら! この前のリベンジだ!」
美代「あ、唯斗、おはよー」
要「リベンジってなんだ?」
唯斗「やっぱり、俺だけ、スカイダイビングは納得いかん! だらら、スカイダイビングをかけて、麻雀で勝負だ!」
場面転換。
マージャンをしている4人。
美代「それ、ロン!」
唯斗「ぎゃあああああ!」
要「唯斗の負けだな」
颯太「二回目のスカイダイビング行ってらっしゃい」
唯斗「いーやーだーーー!」
場面転換。
唯斗「こ、今度は花札で勝負だ!」
場面転換。
美代「私、雨四光(あめしこう)完成」
唯斗「ぎゃあああああああ!」
要「はい。3回目のスカイダイビング行ってらっしゃい!」
唯斗「いーやーだーぁ!」
場面転換。
唯斗「今度はババ抜きで勝負だ!」
場面転換。
カードを取る美代。
美代「あ、私、上がりだ」
唯斗「うわああああああ!」
颯太「はい。じゃあ、4回目、行ってこい」
唯斗「いやだぁ!」
場面転換。
唯斗「次はジャンケンで勝負だ!」
美代「いいよ。じゃーんけん、ポン!」
唯斗「……」
要「……唯斗の一人負けだな」
唯斗「そんなのありかーー!」
颯太「5回目か」
唯斗「うわああああああ! もう、嫌だぁ」
場面転換。
唯斗「おい! 今度は……えーっと、今度は……」
要「無理に勝負しなくていいだろ。誘ってくれれば、やるぞ、スカイダイビング。な?」
颯太「うんうん。実は興味あるんだよね」
美代「実は私も―」
唯斗「違う! そういうんじゃなくて、俺は賭けに勝利して、お前らにあの地獄を味合わせたいんだ!」
要「うーん。無理じゃないか?」
颯太「そうそう。お前、驚くほど賭けに弱いじゃん」
唯斗「うっ! う、うるさいな! とにかく、勝負だ勝負!」
美代「ちょっと待ってね」
唯斗「なんだ?」
美代「二人とも、ちょっとこっちに来て」
要・颯太「ああ」
美代、要、颯太でひそひそ話。
美代「あのさ、思ったんだけど、唯斗、ただスカイダイビングしたいだけだよね?」
要「ハマったのが言い出せなくて、わざと賭けに負けてるよな」
颯太「やっぱりそうだよな。ジェットコースターやバンジージャンプの時も同じだったし」
美代「素直にハマったって言えばいいのに」
要「自分でハマらないって言った手前、プライドが許さないんだろ」
颯太「面倒くさいやつだな」
唯斗「おーい! まだか? スカイダイビングの予約があるから、そろそろしゅっぱつしたいんだけど」
美代「やっぱり、行く気満々じゃん」
要「はあ……仕方ないな。じゃあ、あっち向いてほい、だ」
唯斗「受けて立つ!」
要「じゃーんけんぽん! あっち向いてほい!」
唯斗「あ、負けた!」
颯太「よし、じゃあ、行ってこい」
唯斗「あー、くそ! 今度は絶対に勝ってやるからな―!」
唯斗がニヤニヤしながら行ってしまう。
美代「……ホント、面倒くさいね」
颯太・要「だな」
終わり。
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