ハマってないから!

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
唯斗(ゆいと) 21歳
要(かなめ) 21歳
颯太(そうた) 21歳
美代(みよ) 21歳

■台本

大学の研究室。

唯斗と要と颯太と美代がトランプをやっている。

唯斗「俺、エースのツーペア」

颯太「残念、俺、4のスリーカード」

要「悪いな。俺は6のスリーカード」

美代「ふっふっふ。じゃじゃーん! 私、ストレートフラッシュ」

唯斗「ええー!」

颯太「マジかよ」

要「いや、絶対、イカサマだろ」

美代「へっへーん! それじゃ、見破ってみなさいよー」

唯斗「美代の場合は、ガチのリアル運の可能性が高いからな」

颯太「そうそう。イカサマできるほど器用じゃないし」

美代「なによそれ! 褒めてないでしょ!」

要「それより、これで、唯斗が一番の負けだな」

唯斗「うっ!」

美代「じゃあ、私が罰ゲーム決めれるんだよね」

唯斗「お手柔らかに頼むな」

美代「えーっとぉ……」

唯斗「……」

美代「決めた!」

要「なんだ?」

美代「スカイダイビング」

唯斗「いや! それはないって! マジで!」

颯太「いいな。スカイダイビングか。俺もやってみようかな」

唯斗「なら、颯太がやればいいだろ。俺はパスだ」

美代「ダメだよ。これは唯斗の罰ゲームなんだから」

唯斗「……」

要「そうそう。諦めろ、唯斗」

唯斗「いーやーだー! スカイダイビングなんて、ぜーーーったい嫌だ!」

美代「まあまあ。やってみたら、ハマるかもよ」

唯斗「ないね! 100パーセントない!」

要「んなこといっても、お前、嫌がりながら、アレにハマってたよな」

颯太「ああ、ジェットコースターな」

唯斗「いやいやいや! ハマってたわけじゃないって! あれは仕方なく何度も乗っただけ!」

美代「確か、バンジージャンプもハマってたよね?」

唯斗「だーかーら! あれも、仕方なくだよ! てか、お前らがやらせたんだろ!」

美代「たぶん、スカイダイビングもハマるよ」

唯斗「話を聞け!」

場面転換。

ヘリコプターの中。

唯斗「うう……」

美代「ほら、情けない顔しないの」

唯斗「やっぱ、止めない?」

要「何言ってるんだよ。キャンセル料かかるだろ」

唯斗「なら、せめて、お前らもやれよ!」

颯太「いや、一人分しか払ってないし」

唯斗「くそ……。いやだ。なんで、俺だけ、こんな目に……」

美代「賭けに負けるのが悪い!」

唯斗「うっ!」

美代「じゃあ、いってみよー!」

ガラッとヘリのドアが開く。

唯斗「いや、ちょっと待って!」

美代「いってらっしゃいーい」

唯斗とインストラクターがヘリから飛び降りる。

唯斗「ぎゃああああああああ……」

唯斗の声が小さくなっていく。

場面転換。

地上。

唯斗「うう……」

美代「どうだった?」

唯斗「最悪だよ! もう、絶対にやらん!」

要「はははは。確か、ジェットコースターやバンジージャンプのときもそう言ってたよな」

唯斗「今回はマジだ! あんなの、もう、二度とごめんだ!」

颯太「ふーん」

場面転換。

大学内。

美代、要、颯太が話している。

美代「ははは。言えてるー」

要「それは颯太が悪いな」

颯太「なんでだよ!」

そこに唯斗がやってくる。

唯斗「おい! お前ら! この前のリベンジだ!」

美代「あ、唯斗、おはよー」

要「リベンジってなんだ?」

唯斗「やっぱり、俺だけ、スカイダイビングは納得いかん! だらら、スカイダイビングをかけて、麻雀で勝負だ!」

場面転換。

マージャンをしている4人。

美代「それ、ロン!」

唯斗「ぎゃあああああ!」

要「唯斗の負けだな」

颯太「二回目のスカイダイビング行ってらっしゃい」

唯斗「いーやーだーーー!」

場面転換。

唯斗「こ、今度は花札で勝負だ!」

場面転換。

美代「私、雨四光(あめしこう)完成」

唯斗「ぎゃあああああああ!」

要「はい。3回目のスカイダイビング行ってらっしゃい!」

唯斗「いーやーだーぁ!」

場面転換。

唯斗「今度はババ抜きで勝負だ!」

場面転換。

カードを取る美代。

美代「あ、私、上がりだ」

唯斗「うわああああああ!」

颯太「はい。じゃあ、4回目、行ってこい」

唯斗「いやだぁ!」

場面転換。

唯斗「次はジャンケンで勝負だ!」

美代「いいよ。じゃーんけん、ポン!」

唯斗「……」

要「……唯斗の一人負けだな」

唯斗「そんなのありかーー!」

颯太「5回目か」

唯斗「うわああああああ! もう、嫌だぁ」

場面転換。

唯斗「おい! 今度は……えーっと、今度は……」

要「無理に勝負しなくていいだろ。誘ってくれれば、やるぞ、スカイダイビング。な?」

颯太「うんうん。実は興味あるんだよね」

美代「実は私も―」

唯斗「違う! そういうんじゃなくて、俺は賭けに勝利して、お前らにあの地獄を味合わせたいんだ!」

要「うーん。無理じゃないか?」

颯太「そうそう。お前、驚くほど賭けに弱いじゃん」

唯斗「うっ! う、うるさいな! とにかく、勝負だ勝負!」

美代「ちょっと待ってね」

唯斗「なんだ?」

美代「二人とも、ちょっとこっちに来て」

要・颯太「ああ」

美代、要、颯太でひそひそ話。

美代「あのさ、思ったんだけど、唯斗、ただスカイダイビングしたいだけだよね?」

要「ハマったのが言い出せなくて、わざと賭けに負けてるよな」

颯太「やっぱりそうだよな。ジェットコースターやバンジージャンプの時も同じだったし」

美代「素直にハマったって言えばいいのに」

要「自分でハマらないって言った手前、プライドが許さないんだろ」

颯太「面倒くさいやつだな」

唯斗「おーい! まだか? スカイダイビングの予約があるから、そろそろしゅっぱつしたいんだけど」

美代「やっぱり、行く気満々じゃん」

要「はあ……仕方ないな。じゃあ、あっち向いてほい、だ」

唯斗「受けて立つ!」

要「じゃーんけんぽん! あっち向いてほい!」

唯斗「あ、負けた!」

颯太「よし、じゃあ、行ってこい」

唯斗「あー、くそ! 今度は絶対に勝ってやるからな―!」

唯斗がニヤニヤしながら行ってしまう。

美代「……ホント、面倒くさいね」

颯太・要「だな」

終わり。

 

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