屋上の噂

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ

■キャスト
奏汰(かなた)
唯(ゆい)
女生徒1~2

目次

■台本

奏汰(N)「学校の屋上。そこには様々な噂がある。幽霊が出るとか、異世界に通じてるとか、そこで告白すると上手くいく、とか……」

学校の屋上。
春の風がふわっと吹く。

唯「奏汰くんはどう思う?」
奏汰「屋上の噂の件ですか?」
唯「そう。幽霊とか異世界なんて、私たちの時に、あったっけ?」
奏汰「増えたみたいですよ。最近」
唯「そうなんだ? まあ、学校の七不思議とかもよく増えるからね」
奏汰「それにしても、相変わらず先輩は屋上が好きなんですね」
唯「なんだろ。一人が好きなんだと思う。屋上って、誰も来ないでしょ?」
奏汰「鍵がかかってますからね」
唯「原因ってなんだっけ? 人が落ちて死んだんだっけ?」
奏汰「死んでませんよ。落ちそうになっただけです」
唯「ふーん。それでかな? 幽霊が出るって噂になったの」
奏汰「かもしれませんね」
唯「じゃあ、異世界は?」
奏汰「さあ……?」
唯「屋上から飛び降りたら異世界に行けるとか?」
奏汰「……それだと幽霊が出るって噂と変わらないじゃないですか」
唯「飛び降りた人が消える、とか?」
奏汰「余計、幽霊っぽいですよ」
唯「異世界になんかに行きたいもんかね?」
奏汰「事情は人それぞれですから」
唯「ふーん……」
奏汰「な、なんですか、その目は?」
唯「いや、大人になったな―って思ってさ」
奏汰「からかわないでください」
唯「あははは。じゃあさ、3つめのは本当なのかな?」
奏汰「……屋上で告白すると上手くいくってやつですか?」
唯「そうそう」
奏汰「それは絶対にないですね」
唯「え? なんで? 幽霊とか異世界よりはありそうじゃない? てか、あった方がいいと思うけど」
奏汰「……フッた人が何を言ってるんですか」
唯「え?」
奏汰「……もしかして、気づいてなかったんですか? 俺が先輩に告白したこと」
唯「あー、やっぱり、あれ、告白だったのかぁ」
奏汰「気づかなかったわりには、はっきりと断りましたよね? ごめんって言って」
唯「……あれは、恥ずかしかったのよ」
奏汰「恥ずかしかったって……子供じゃないんですから」
唯「子供だよ」
奏汰「……」
唯「あの頃はね」
奏汰「とにかく、僕にとっては屋上の噂は全部でたらめってイメージですけどね」
唯「そうなんだ?」
奏汰「なんせ、先輩にフラれた場所ですからね」
唯「……根に持ってるね」
奏汰「そりゃもう」
唯「その割には来たんだね。ここに」
奏汰「偶然ですよ」
唯「ホントに?」
奏汰「……」
唯「……」
奏汰「すいません。めっちゃくちゃ苦労して来ました」
唯「私を追って?」
奏汰「……」
唯「ごめん。意地悪だったね」
奏汰「いいですよ。先輩が意地悪なのは慣れました」
唯「あははは。奏汰くんもドMだね」
奏汰「そうじゃなかったら、ここまで来ませんよ」
唯「……あのさ、奏汰くん」
奏汰「なんですか?」
唯「私……」

そのときガチャっと屋上のドアが開く音がする。

奏汰「……っ!?」
唯「ヤバ!」
女生徒1「だ、誰かいるの?」
女生徒2「ねえ、やめなよ。ヤバいって」
女生徒1「いや、絶対、話し声聞こえた。誰かいたんだよ、絶対」
女生徒2「あれじゃない? 噂の幽霊じゃない?」
女生徒1「でも、見て。床に足跡」
女生徒2「あ、ホントだ。じゃあ、幽霊じゃないってこと?」
女生徒1「……足跡がここで途切れてる」
女生徒2「もしかして、異世界に繋がってて、吸い込まれちゃったとか?」
女生徒1「やだ、怖い!」
女生徒2「……戻ろっか」
女生徒1「うん」

2人が屋上から出ていく。

唯「……行ったかな?」
奏汰「たぶん。……でも、先輩、よくこんなところに、こんな空間があるって知ってましたね」
唯「そりゃまあ、ここは庭みたいなものだからね」
奏汰「助かりました」
唯「……もしかして、幽霊と異世界の噂って、私たちのせいだったりするのかな?」
奏汰「そうかもしれませんね。……じゃあ、俺たちも教室に戻りましょうか」
唯「ねえ、奏汰くん。屋上の噂は3つとも私たちが原因になるかもね」
奏汰「え? 告白の件は嘘って証明されてますけど」
唯「そう? 最終的に上手くいけば、嘘にならなくない?」
奏汰「……それって?」
唯「これからは屋上は告白スポットになるかも」
奏汰「……」
唯「まあ、ドアに鍵をかけるから、生徒は入れないんだけどね」
奏汰「……そうですね」
唯「じゃあ、そろそろ授業が始まるから教室に戻らないと」
奏汰「そうですね」
唯「授業頑張らないとね、奏汰先生」
奏汰「……ホント、学生の頃から、はぐらかすのがうまいですよね、先輩って」

終わり。

 

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