【ボイスドラマ】40万キロ先の親友へ

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■ジャンル
ボイスドラマ、未来、SF、シリアス

ミーア「さてと、今日も繋げますか。はい、ポチッとな」

  ミーアがボタンを押すと、パッと画面が開く音がする。

ミーア「やっほー! フィーちゃん、聞こえる?」

フィー「こんにちわ、ミーアさん。今日も来てくれたんですね」

ミーア「もちろんだよ。っていうか、フィーちゃんと話すのが毎日の楽しみなんだもん。来ないわけないじゃん」

フィー「ふふふ。ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです」

ミーア「あ、そうだ。この前、探検してたら新しい本を見つけたよ。今度、読んであげるね」

フィー「それは嬉しいのですが……。もしかして、ミーアさん、夜に出歩いたんですか?」

ミーア「え? あははは……。ちょっとだけだよ、ちょっとだけ」

フィー「いけませんよ。夜はとても危険なんですから」

ミーア「大丈夫だって。フィーちゃんは心配性だなぁ。危険なんてないよ。大体、私しかいないんだからさ」

フィー「……それはそうですが。夜は気温が極端に下がりますし、私との通信ができません。何かあったら……」

ミーア「ごめん、ごめん。今度はちゃんとフィーちゃんに行ってから出かけるようにするね」

フィー「いえ、そうではなくて、出かけるなら昼の時間にしてください」

ミーア「ええー。お昼はフィーちゃんとお話するって決めてるんだもん。夜しかお出かけできないよ」

フィー「別に一日くらい私と話せなくてもいいじゃないですか。時間はたくさんあるのですし」

ミーア「ぶー! いやだよー。フィーちゃんとお話できないなら、探検は止めるー」

フィー「はあ……。わかりました。今度、そちらの作業アンドロイドにデータを送って、携帯を作ってもらいますね」

ミーア「携帯? なにそれ?」

フィー「えっと、ここにいなくても、私と話せる道具です」

ミーア「えええ! ホント! やったー! それなら、夜もお話できるね!」

フィー「いえ、夜は電波が届かなくなるので、無理ですね」

ミーア「ええー! それじゃ、つまんないー」

フィー「でも、探索中に話せるのは利点になると思います。もっと早く作ればよかったですね」

ミーア「んー。探検中はあんまり気を抜けないから、ここで気軽にフィーちゃんと話してた方がいいなぁ」

フィー「まあまあ、そう言わずにお願いします。まさか、また探検に興味を持ってもらえて嬉しいです」

ミーア「別に、また探検が楽しくなったわけじゃなくて、フィーちゃんが新しい本が読みたいかなーって思って行っただけだよ」

フィー「ありがとうございます。嬉しいです。あ、でも、無理はしてはダメですからね、ミーアさんは……」

ミーア「こっちで最後の人間なんだから、でしょ! もう聞き飽きたよー」

フィー「ふふ。しつこくてすみません。でも、ミーアさんを見守るのが私の使命ですから」

ミーア「あ、そうだ。ねえねえ、そっちの方はどう? なんか新しいことあった?」

フィー「そうですね。汚染水から真水の生成ができるようになりましたよ。これで、飲水に使えます」

ミーア「おお! すごい! じゃあ、私、そっちに行っていい?」

フィー「ダメですよ。もう少しお待ち下さい。まだまだ、ミーアさんをこちらに呼ぶのは早いです」

ミーア「ぶぅ……。早く、フィーちゃんに直接会いたいのにぃ」

フィー「……私も、ミーアさんに会えるのを楽しみにしてますよ」

ミーア「じゃあさ、ちょこっとだけ行っていい? フィーちゃんに会ったらすぐに帰るから」

フィー「そこまで気軽に来れる距離じゃないですよ」

ミーア「わかってるよー。言ってみただけ」

フィー「……すみません。ミーアさん」

ミーア「なんで、フィーちゃんが謝るの?」

フィー「たった一人、残してしまって……。寂しいですよね」

ミーア「もー! それも何回も言ってるでしょ! フィーちゃんがいるから寂しくないって。それに、フィーちゃんだって一緒でしょ。そっちにも、他は誰もいなんだからさ」

フィー「私は……いえ、そうでしたね。ありがとうございます」

ミーア「そういえばさ、フィーちゃんがこっちに来るのは無理なの?」

フィー「……すみません。私は、その……そちらの環境に……」

ミーア「あ、そっか。普通の人だと、こっちじゃ生きてられないんだっけ」

フィー「はい。ミーアさんは人類で初の遺伝子操作に成功した人ですので」

ミーア「たしか、通常の人の5分の1の空気の濃度でも平気なんだっけ?」

フィー「はい。まさに、そちらの環境で生きていける体質ということですね」

ミーア「んー。えっと、ここの空気とか薄いのはドームの壁が破損してるからだよね? それを直したらフィーちゃんでも大丈夫なんじゃない?」

フィー「ええ。完全に直れば平気なんですけど、直すのに100年くらいかかると思いますよ」

ミーア「うう……それじゃ意味ないじゃん」

  急に、警告音が鳴り、ザザッと通信が乱れる。

ミーア「あれ? どうかしたの? 画像が乱れたけど。それにさっきの音、なあに?」

フィー「……この警告音は。隕石?」

ミーア「え? なになに? どうしたの?」

フィー「落下場所は……ここから南東100キロ地点。規模からして……」

ミーア「ねえ、フィーちゃん! どうしたの!?」

フィー「あ、すみません。もしかしたら、数日、回線が繋がらなくなくなるかもしれません」

ミーア「え? え? え? どうして?」

フィー「隕石が落ちた衝撃がこちらまで来る可能性が……」

  ドーンと大きな衝突音。

  ザザっと画像がひどく乱れる。

ミーア「フィーちゃん! フィーちゃん!」

  ドンとフィーが吹き飛ぶ音。

フィー「グ……ガガ……」

ミーア「フィーちゃん!」

  少しの沈黙。

フィー「心配……させて……すみません……」

ミーア「フィーちゃん、頭が……」

フィー「平気……です。このくらい……の、損傷……は……」

ミーア「フィーちゃん! フィーちゃん! ふえーん!」

フィー「心配……あり……ま……」

  ブツっと回線が切れる。

ミーア「フィーちゃんが死んじゃう! 助けに行かないと! でも、まだ私が行ったらダメって……。ううん。そんなこと言ってられない!」

ミーア(N)「フィーちゃんは人間じゃなくて、アンドロイドって言ってた。よくわからないけど、たった一人の友だちが危ないんだもん! 私、行く!月からだと地球まで一週間くらいかかるけど、待ってて。今、行くからね。……ごめんね、フィーちゃん。フィーちゃんが大変なのに、私、少しだけ嬉しいんだ。だって、やっとフィーちゃんに会えるんだもん」

終わり

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