西田家の受難 アウトドアの恐怖

西田家の受難 アウトドアの恐怖

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◆シリーズ一覧
<シュークリーム事件> <西田怪談> <留年未遂事件> <幼馴染の謎の行動>

■概要
人数:5人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
西田 正志(17) 長男
西田 清 (17) 二男・正志の双子の弟
西田 総士(14) 三男
西田 隆 (5)  末っ子
ミラ   (3)  猫

■台本

正志(N)「今年はまあ、色々あって夏休みは大人しく家でずっと過ごした。仕方がないことだしてとしても、家の中にずっといるというのはストレスが溜まるものだ」

清「正兄ぃ、毎年、夏休みでも家から出ないじゃん」

正志「清、心の声を読むのは止めろ」

清「で、なに? 今度は何を企んでるの?」

正志「企んでるとか、人聞きの悪い言い方するな。いや、考えてみたらさ、今年ってなにもしてなかったなーって思ってさ」

清「いつものことじゃない?」

正志「うるさいな……。とにかく、今年こそはなんか思い出を作りたいんだよ! せっかくの連休なんだからさ。隆もそう思うよな?」

隆「え? なーに?」

正志「隆も、どこか遊びに行きたいよな?」

隆「いきたーい!」

総士「兄貴の悪だくみに隆を巻き込むなよ」

正志「総士、お前まで……。いやいや、みんな聞いてくれ。せっかくの休みなのに、ダラダラと家の中で過ごしてていいのか?」

清「いいのかって言われてもな……」

正志「そこで俺は考えた。キャンプをしよう!」

清・総士「は?」

地面にくさびを打ち込む音。

正志「ふう。よし、テント、設営完了だ!」

ミラ「にゃーん!」

正志「おい、ミラ! テントで爪を研ぐなよ! おい、隆、ミラを頼む」

隆「はーい!」

総士「なあ、兄貴、ホントに飯って、鍋で作るのか? 飯くらい炊飯器でよくね?」

正志「ダメだ! キャンプっぽくないだろ!」

清「とかいいながら、正兄ぃ、鍋での炊き方知ってんの?」

正志「清。お前をご飯係に任命する!」

清「はいはい……」

総士「それにしても、まさかきよ兄ぃも付き合うなんて思わなかったな」

清「まあ、暇だからね。家でダラダラ過ごすのも時間が勿体ないっていうのもあるし」

正志「よーし! 俺はカレーを作るか。キャンプと言ったら、カレーだよな!」

総士「いや、キャンプと言ったら、焼き肉じゃね?」

正志「……肉買う金ねーだろ。ってことで、カレーだ」

清「総士、手伝ってやってくれ」

総士「え? けど、俺、作り方知らねーよ」

清「ネットで調べろ。いいか! 絶対に、そのレシピ通りに作るんだぞ! 正兄ぃがアレンジしようとしたら、必ず止めるのが、お前の仕事だ」

総士「わ、わかった」

清「頼んだぞ、今日の晩飯はお前にかかってると言って過言じゃないからな」

  遠くから、子供の声がする。

子供「ねえ、あーそーぼー」

正志「ちっ! せっかくのキャンプなのに、台無しだな……」

清「まあ、いくら穴場だって言っても、他に人はいるもんだよ。……逆に、こんなときだから、穴場の方が人気なんじゃない?」

正志「おお!」

総士「さすが、きよ兄ぃ」

子供「あーそーぼー」

正志「隆、遊んでやれ」

隆「えー、ボクもキャンプしたーい」

正志「大丈夫だ。夜になったら、嫌でも参加することになるんだからな」

隆「ぶう……」

清「隆、すまんが、頼む」

隆「はぁーい……」

  隆が歩いて行く。

総士「兄貴、火、着いたぜ」

正志「おお! 総士、でかした。さっそく、カレー作るぞ」

  少しの間。

  カレーを食べる4人。

正志「うまい!」

総士「なんでだろうな。外で食べてるってだけで、なんかうまく感じる」

隆「ボク、カレーだいすきー」

清「初めて鍋で炊いたけど、うまくいくもんだな」

正志「これぞ、キャンプって感じだよなー。どうだ? 俺の提案も、たまにはいいもんだろ?」

総士「うう……悔しいが同意だ」

清「右に同じく……」

正志「にしても、ちょっと暗いな……」

清「まあ、電気がないからね。自然の中なら、これが当然だよ」

正志「そっか。でも、その代わり、星がいつもよりきれいに見えるな」

総士「あ、それ、俺も思った」

正志「自然っていいな。キャンプ、最高!」

  少しの間。

正志「おい……。総士、キャンプなのに、スマホすんなよ。気分、台無しだろ」

総士「いや、暇なんだよ、することないし」

正志「自然を楽しめよ。星が綺麗とかさっき言ってただろ」

総士「一時間も見てりゃ、さすがに飽きる」

隆「ふぁー」

清「隆、そろそろ眠いのか?」

隆「う、うん……」

清「よし、じゃあ、寝るか」

正志「俺たちも寝るか」

総士「早くね?」

正志「することないなら、寝るしかないだろ」

  テントの入り口のチャックを閉める。

正志「よし、これで準備オッケーだな」

総士「なあ、ここで四人は狭くないか?」

隆「はっくょっ!」

清「隆、寒いのか?」

隆「う、うん……」

清「寝袋だけだとさすがに寒いか。……もう秋だしな。正兄ぃ。俺、隆を連れて戻るわ」

正志「は? ここに来て帰るとか、あり得んだろ! キャンプは寝るのも楽しいのに!」

清「隆が風邪ひいたらどうするんだよ」

正志「うっ!」

清「さ、隆、帰るよ」

隆「ええー。ボク、ここで寝たい」

清「大丈夫だ。また明日の朝、来よう。な?」

隆「う、うん……わかった」

清「じゃあ、俺たち、先に帰るから。二人もあまり無理するなよ」

正志「ああ……」

  少しの間。

総士「なあ、兄貴。起きてる?」

正志「ああ……」

総士「やっぱ、寝れないな」

正志「だな。総士、怖い話でもしろよ」

総士「いや、なんで怖い話なんだよ」

正志「夏と言えば、怖い話だろ」

総士「今、秋だよ……」

正志「いいから、しろよ」

総士「……ネットで読んだ話なんだけど、俺たちみたいに季節外れに一人でキャンプしてた時の話」

正志「おお、いいな。この状況にピッタリだ」

総士「やっぱり、その人も夜にすることがなくなって、早めに寝ようとしてたんだって。けど、眠れなくて、テントの中で何度も寝がえりしてたら、テントの外で何かが動く気配がするのに気付いたんだ」

正志「……それで?」

総士「山奥だったから、他に人もいないはずだったから、おかしいなって思ったんだ。よくよく観察してたら、その何かは、テントの周りをグルグルと回ってるみたいなんだ。まるで、中にいる人間を値踏みするように」

正志「……」

総士「その人は、外に出て確かめようかと思ったらしいんだけど、何か嫌な感じがしたらしい。出たらヤバいって。それは影がどうみても人間でも動物でもなかったって。妖怪かなにかにしか見えなかったって」

正志「(唾を飲み込み)で?」

総士「そして、寝たらヤバいとも感じたらしい。だから、必死で寝ないようにしてたんだ。そしたら……」

  外でガサっと音がする。

正志「お、おい! 今のなんの音だ?」

総士「きよ兄ぃが戻ってきた、とか?」

正志「清か?」

  また、ガサっと音がする。

正志「ひいぃ!」

総士「正兄ぃ。ちょっと、外見てきてよ」

正志「お前が行け!」

総士「ここは長男の仕事だろ!」

  ガサっと音がする。

総士「ひぃい!」

正志「お、おい、総士。結局、その人、どうなったんだ?」

総士「息をひそめて、朝までずっと起きてたって。朝になったらいなくなったらしい」

正志「……俺たちもその作戦でいこう」

総士「ああ……」

  少しの間。

  雀の鳴く声。

正志「(寝息)」

総士「(寝息)」

  テントのチャックが開く音。

清「おはよう」

正志・総士「うわああー!」

清「な、なに! 急にでかい声出して?」

正志「……そ、外になにかいなかったか?」

清「外に? いや……ミラくらいしかいないけど」

ミラ「にゃー」

正志「おい……総士。まさか……」

総士「ああ。完全にミラの存在を忘れてた」

清「それより、正兄ぃ。どう? 家の中庭で一晩、キャンプした感想は」

正志「……疲れた」

総士「同じく……」

正志(N)「やっぱり、俺にはこういうアウトドアは似合わない。家で大人しくしてるのが一番だな」

終わり

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