【ラジオドラマ短編シナリオ】西田家の受難 幼馴染の謎の行動

【ラジオドラマ短編シナリオ】西田家の受難 幼馴染の謎の行動

人物表

西田 正志(17) 長男

高坂  陽菜(17)幼馴染

正志(N)「生きる。それは戦いの連続だ。正に今、俺も時間と戦っている」

  正志が道を走っている。

  その後ろから、陽菜が走ってくる。

陽菜「もう! 正志、遅いわよ! 遅刻するじゃない!」

正志「だから、走ってるんだろ!」

陽菜「もう少し早く出れば、走らなくてもいいでしょ」

正志「それができたら、苦労しない」

陽菜「……ただ、早く起きるだけじゃない。どうしてできないのよ」

正志「この俺に、朝の至福の時間……二度寝をするなって言うのか? 冗談じゃない」

陽菜「たまには早起きもいいんじゃない? ほら、早起きは三文の得っていうでしょ」

正志「三文の得にしかならないなら、寝てるほうがよっぽど得だろ」

陽菜「(ため息)まったく、あんたは……」

正志「そういう陽菜だって、俺と同じだろ?」

陽菜「あんたと一緒にしないでくれる? 私はちゃんと、早起きしてますぅ!」

正志「なら、なんで、今、俺と一緒に走る羽目になってんだよ?」

陽菜「それは、あんたを待って……じゃない、色々、あるのよ」

正志「ふーん。そうなのか」

陽菜「ね、ねえ、正志、明日から、私が起こしに行ってあげようか?」

正志「いや、だから、お前と合わせたら、今とかわらないんじゃないか?」

陽菜「え? あ、いや、それは、ちゃんと早く起こしにいけるわよ」

正志「別にいいよ。悪いし」

陽菜「気にしなくていいって。ほら、幼馴染なんだし」

正志「でもほら、親しき中にも礼儀ありっていうだろ?」

陽菜「……変なところでめんどくさいなぁ」

正志「とにかく、お前は早く家出れるなら出て、遅刻しないようにしろよ。俺になんかに構わないでさ」

陽菜「それじゃ意味ないのよ!」

正志「な、なんでいきなり切れるんだよ?」

陽菜「え? えっと、その……ほら、あんたとは腐れ縁じゃない? だから、その……先生から頼まれてるのよ、あんたが遅刻しないようにって」

正志「親じゃないんだから、そんなこと断っていいだろ」

陽菜「……」

正志「どうした? 急に黙って」

陽菜「最近、あんたとはこうやって話すことも少なくなったわよね」

正志「んー。まあ、クラスも違うくなったしな。しゃーないんじゃないか?」

陽菜「……あんたは、それで平気なの?」

正志「どういうことだ? 平気もなにもないだろ」

陽菜「……馬鹿」

正志「なんで、いきなり、罵倒されないといけないんだよ」

陽菜「バカ! あんたなんか知らない!」

正志「こ、今度は逆切れかよ……」

陽菜「うう……。あんたがちゃんと朝早く起きれば、もっといっぱい話せるのに!」

正志「いや、だから、俺は話す時間があったら、寝てたいっていう話をだな……」

陽菜「うるさい! いいから、あんたは早く起きればいいのよ!」

正志「お、おい! 頬を引っ張るな!」

陽菜「わかったわね! ちゃんと早く起きるのよ!」

  陽菜が走り去っていく。

正志「うお、あいつ、足早いな。あれなら、もう少し寝てられるんじゃないか?」

正志(N)「なぜ陽菜が怒ったのかはわからない。けど、まあ、そこまで言うなら明日は早く起きてみるか。……あいつ、ガチで怒ったら怖いしな」

  朝。スズメの鳴き声が響く。

正志(N)「んー。朝って、意外と気持ちいいな。陽菜の言う通り、早く起きるものいいもんだな。って、朝、走らないで学校行くって何年ぶりだ?」

  学校のチャイムが鳴り響く。

正志「あー、腹減った。昼飯、昼飯」

  バンとドアが勢いよく開く。

正志「お? 陽菜。珍しいな。お前がこっちのクラスに来るなんて……」

陽菜「ちょっと! なんで、あんた、学校に早く来てるのよ!」

正志「いや……お前が早く来いって言ったんじゃねーかよ」

陽菜「まさか、本気にするって思わなかったのよ! あんたを待ってて遅刻したじゃない!」

正志「……なんで、俺のせいなんだよ」

陽菜「もう、馬鹿!」

  陽菜が正志にビンタする。

  そして、陽菜が勢いよくドアを開いて、ぴしゃりと閉める。

正志「……理不尽」

正志(N)「なぜ、陽菜が怒ったのか。それはよくわからない。とにかく、俺が早く起きたことが気に食わないみたいだ」

  家のドアを開いて、走る正志。

正志「やべえ! さすがに寝すぎた!」

  必死に走る正志。

  後ろから陽菜が走ってくる。

陽菜「あんた、馬鹿じゃないの? なんで、こんなに遅いのよ!」

正志「いや、早起きしなくていいって思ったら、いつもより深い二度寝をしちまったんだよ」

陽菜「もう! 六時からずっと待ってた私の時間を返してよ! それに、今日もこれ、絶対遅刻じゃないのよ!」

正志「俺に切れるなよ。六時に出たらな、さっさと学校に行けばいいじゃねーかよ」

陽菜「うるさいわね! とにかく、あんたはちゃんと起きればいいいのよ! わかった!?」

正志(N)「なぜ、陽菜が怒ったのか、よくわからない。とにかく、俺が寝坊し過ぎたことが原因らしい」

  朝。スズメの鳴き声が響く。

正志(N)「……さすがに六時に起きるのは早すぎたな。眠い……。それに、こんなに早く学校に行ってもなー。しゃーない。教室で二度寝しよう」

  正志が道をゆっくりと歩いていく。

  昼。学校のチャイムが鳴る。

正志「あー、腹減った。昼飯、昼飯」

  バンとドアが勢いよく開く。

陽菜「あんたねー! 早く来たり、遅く来たり、どっちなのよ!」

正志「……聞きたいのはこっちだ」

陽菜「あー、もう! わかったわよ! 私が起こしに行けばいいんでしょ!」

  そして、陽菜が勢いよくドアを開いて、ぴしゃりと閉める。

正志「……なぜ?」

正志(N)「結局、次の日から、陽菜が迎えにくるようになった。おかげで、俺は朝の二度寝ができなくなってしまった。でも、まあ、遅刻しなくなったし、時間と戦わなくてよくなったのは、良しとするか」

終わり