【声劇台本】幸せな未来

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■関連シナリオ
〈X’masミッション・イン・ポッシブル〉
〈古き良き時代〉

■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
達也(たつや)
布姫(ぬのめ)
美桜(みお)

■台本

ガチャリとドアが開いて、達也が入って来る。

達也「ただいまー」

美桜が走ってきて、達也に抱き着く。

美桜「パパ、お帰りなさーい!」

達也「美桜、今日もいい子にしてたか?」

美桜「うん! 今日ね、学校で絵を描いたんだよ! 先生に褒められたんだ」

達也「おお! さすが、美桜だ。その絵、パパにも見せてくれるか?」

美桜「うん! リビングに置いてある」

達也「楽しみだなー」

廊下を歩き、ドアを開けてリビングに入る達也と美桜。

布姫「お帰りなさい。今日は早かったのね」

達也「ああ、まあ、たまにはな」

布姫「もう少しでご飯の支度が終わるから、もう待っててもらえるかしら」

達也「わかった。それで、美桜、褒められたって絵をパパに見せてくれるか?」

美桜「うん、これ!」

達也「ほー。うんうん。上手いな! 美桜は天才だな」

美桜「えへへへ」

達也「……で、これは何をしているところなんだ?」

美桜「結婚式!」

達也「ああ、結婚式か。どおりでキラキラしているわけだ。……えっと、パパとママの結婚式を描いたのかな? けど、なんでパパの顔が真っ黒なんだ?」

美桜「違うよー。この結婚式は美桜のだよ」

達也「み、美桜の!? どういうことだ? ついに美桜を狙う、不届き物が現れたってことか!?」

美桜「私、まだ誰と結婚するかわからないから、相手の人の顔、黒くしてるの」

達也「そ、そうなのか……。じゃあ、今、好きな人がいるとか、言い寄って来る奴がいるってわけじゃないんだな?」

美桜「うん」

達也「とりあえずは、ホッとしたよ。……それより、美桜は結婚したいのか?」

美桜「したいよー」

達也「そ、そうか……。パパとしてはずっと、一緒にいて欲しいんだがな。……そうだ! パパと結婚しないか?」

布姫「それ、子供が言うならいいけど、親の方が言うのはかなりキモイわよ」

達也「布姫、聞いてたのか!?」

美桜「やだー。パパとは結婚しなーい!」

達也「ガーン!」

布姫「いや、普通はあなたが、パパとは結婚できないんだよ、と教えるところだと思うのだけれど」

達也「うう……。これが反抗期という奴か。覚悟をしていたが、こんなにキツいものだったとは……」

布姫「こんなのでショックを受けてたら、本当の反抗期のときは発狂しそうね」

美桜「だって、パパはパパだもん。パパとは結婚できないって、ほーりつで決まってるんでしょ?」

達也「くそっ! なんで、日本は一夫多妻制じゃないんだ!」

布姫「問題はそこじゃないんじゃないかしら……」

達也「うおーー! 美桜、嫁になんか行かないでくれー」

場面転換。

寝息を立てている美桜。

そこにコーヒーを持ってくる布姫。

布姫「コーヒー飲む?」

達也「サンキュー」

布姫「あら、美桜、寝ちゃったの? ほら、美桜、こんなところで寝てないで、ちゃんと着替えて部屋で寝なさい」

達也「いいよ。後で俺が運んでいくから」

布姫「まったく。あなたはいつも美桜に甘いんだから」

布姫が達也の横に座る。

美桜「すーすー」

達也「……子供が大きくなるなんて、あっという間だよな。立てるようになったのが、ほんの昨日のように感じるのにさ」

布姫「……時間の感覚が狂い過ぎてるわね」

達也「こんなんじゃ、一週間も経ったら高校生になってそうだよな」

布姫「精神と時の部屋並みね」

達也「はあ……。いつかは、誰かと結婚するんだよな」

布姫「なに? まだ、さっきの絵のこと引きずってるの?」

達也「いや、だってさ。こんなに小さいんだぞ! 結婚なんて無理だろ」

布姫「なんで、今、結婚することになってるのよ」

達也「……ずっと、嫁に行かないでほしいっていうのは無理なのかな?」

布姫「無理っていうより、問題ね。美桜が50歳になっても、家にいてほしいの?」

達也「俺は一向に構わん!」

布姫「はあ……」

達也「ガチで呆れたため息つくなよ。凹むだろ」

布姫「私ね、小さい頃はお父さんっ子だったのよ」

達也「へー。そうだったのか? 知らなかったな」

布姫「それでね、美桜くらいのときは、お父さんと結婚できないなら、お嫁さんになんかならないで、ずっとお父さんと一緒にいるって言ってたらしいわ」

達也「いいことじゃないか」

布姫「でも、そうしてたら、あなたと結婚してなかったわ」

達也「あ……」

布姫「私ね、今、とっても幸せよ。あなたと結婚してよかったわ」

達也「布姫……」

布姫「だから、この気持ちを美桜にも感じてもらいたいわ。大好きな人と結婚して、大切な家庭を築いてほしい」

達也「そ、そりゃ、俺もそう……思うけどさ」

布姫「いいじゃない。美桜が嫁に行っても、私がいるわ。……それとも、私だけだと不満かしら?」

達也「そんなことない。布姫、お前がいてくくれるだけで、俺は十分幸せだ」

布姫「ふふ。私もよ」

達也「……布姫。俺と……結婚してくれて、ありがとな」

布姫「それは、こっちの台詞、ってやつね」

美桜「う、うーん……」

達也「あ、美桜。悪い、起こしちゃったか?」

美桜「私ね……。パパとママみたく……なりたいな……」

布姫「え?」

美桜「……パパみたいな……人、見つけて……ママみたく……幸せに……なりたい……」

布姫「ふふ。そうね。きっと、美桜なら見つけられるわ。ね? あなた」

達也「ああ、そうだな」

美桜「えへへ……むにゃむにゃ……」

達也(N)「美桜が誰かと結婚して、この家を出ていく。それはきっと幸せなことなのだろう。美桜が選んだ人と幸せな家庭を築いて、そしてまた、その子供に受け継がれていく。俺は今、とても幸せだけど、未来の俺はきっともっと幸せになっているはずだ」

終わり。

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