【声劇台本】青い鳥を探せ
- 2021.10.24
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ
■キャスト
母親
チルチル
ミチル
魔女
■台本
チルチル「ふわー! 小腹減った。ミチル、お菓子取ってきて」
ミチル「えー。面倒くさい。お兄ちゃんが持ってきてよ」
チルチル「ええー。やだよ。じゃあ……おかーさーん!」
ガチャリとドアが開く。
母親「どうしたの? チルチル」
チルチル「お菓子持ってきてー」
母親「……自分で持って来なさい!」
バタンとドアが閉まる。
チルチル「ええー! お母さん―、お願い―」
ミチル「自分で持って来れば?」
チルチル「だーかーらー、面倒くさいって言ってんの!」
場面転換。
母親「というわけなんです、魔女さん。どうにかなりませんかね?」
魔女「うーん。それは困ったもんだねぇ。ちなみに、チルチルとミチルちゃんは何歳になったんだっけ?」
母親「チルチルが18で、ミチルが16です」
魔女「ふーむ。もう、他の子だと仕事をしている年齢だねぇ」
母親「ええ。とっくに。でも、二人はずーっと、働きもせずに家とゴロゴロとしてばかりで……」
魔女「いっそ、家を追い出したらどうだい?」
母親「やってみたんですけど、一週間、家の前でゴロゴロして、飲まず食わずで死にそうになったんです」
魔女「……筋金入りの怠け者だね」
母親「……はい」
魔女「わかったよ。それじゃ、何とかしようかね」
場面転換。
チルチル「青い鳥?」
魔女「ああ。その青い鳥があれば、幸せが舞い降りるんだよ」
チルチル「ふーん」
魔女「それを二人で捕まえてきてくれないかい?」
ミチル「ええー。私も?」
チルチル「面倒くさいよ」
魔女「お前たち、青い鳥は物凄いんだ。本当にすごい幸せを呼ぶんだよ? その幸せを感じたいと思わないのかい?」
チルチル「……」
ミチル「……」
魔女「青い鳥さえいれば、母親だって喜ぶし、お前たちだって、堂々と家にいれるよ」
チルチル「その青い鳥って、すぐ見つかる?」
魔女「お前たち次第さ」
ミチル「どうする? お兄ちゃん」
チルチル「しゃーない。行くか」
ミチル「まあ、しょうがないね」
場面転換。
母親「……あの子たちが旅に出て、3日が経ちますけど、大丈夫でしょうか?」
魔女「まあ、心配なのはわかるけどね。昔から言うだろ? 可愛い子には旅をさせろってね。大丈夫。各地に私の知り合いもいるし、ちゃーんと、労働の大切さを学んで帰ってくるさ」
母親「はい……。期待してます」
場面転換。
チルチル「ただいまー」
ミチル「あー、疲れた」
魔女「おや? 随分と早かったねぇ。まだ一週間じゃないか」
母親「それで、チルチル、ミチル。労働の大切さは知ることができた?」
チルチル「うん。労働って大変だけど、大事なことってわかったよ」
ミチル「仕事って、尊いことだったのね」
母親「よかった! 魔女さん! 二人は生まれ変わりました」
魔女「……うーん」
場面転換。
チルチル「ふわー! 小腹減った。ミチル、お菓子取ってきて」
ミチル「えー。面倒くさい。お兄ちゃんが持ってきてよ」
場面転換。
母親「あの……まったく変わってないんですけど」
魔女「……仕事は尊いことだって、わかったと言ってたじゃないか。どうして働かないんだい?」
母親「……尊過ぎて、自分たちが仕事をするのは仕事に対して侮辱になる、そうです」
魔女「……そんなことだろうとは思ったよ。実際、青い鳥は捕まえるのを諦めて、すぐに戻ってきてるからね……」
母親「……今が、十分、幸せだからいいと……。青い鳥がいなくても堂々と家にいることにした……と」
魔女「……働き者になる薬でも作ってみようかね」
母親「……よろしくお願いいたします」
終わり。
-
前の記事
【声劇台本】男の苦悩 2021.10.23
-
次の記事
【声劇台本】贖罪の切符 2021.10.25