【声劇台本】平和な世界のために

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■概要
人数:2人
時間:5分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
アラン
ケニー

■台本

アラン(N)「ケニーは少しズレている。昔からそうだった……」

ケニー「う、うう……」

アラン「泣くな、ケニー」

ケニー「でも、アランくん……。ボク……」

アラン「悔しかったら、金持ちになれ! そうすれば、盗みなんかしなくて済む」

ケニー「リンゴ一個だけだったのに」

アラン「まあ、憲兵に引き渡されなかっただけでも感謝しないとな」

ケニー「ううー。お腹減った……」

アラン「とにかく、腹いっぱい食べれないのは俺達が貧乏なのが原因だ。早く、成り上がろうぜ」

ケニー「うん。早く、お腹いっぱいになれるように頑張る!」

場面転換。

アラン「ケニー、お前……」

ケニー「あ、アランくん! はい、リンゴ!」

アラン「どうしたんだよ、このリンゴの山」

ケニー「リンゴ業者の人を倒した! これでお腹いっぱい食べれるでしょ」

アラン「……いや、力だけじゃなくて、金で解決しようって話だったんだけどな」

ケニー「でも、あの業者って悪党って言われてたよ? みんな文句言ってたもん」

アラン「だからって……」

場面転換。

ケニー「うう……。悔しいよぉ」

アラン「元気出せよ。家なんて、また建てればいいだろ」

ケニー「でも、せっかくいい家を見つけたのに……」

アラン「またいい空き家がないか探そうぜ。今度はドラゴンがやってこないようなところをさ」

ケニー「うう……。安心して暮らせるようになりたい……」

アラン「やっぱり、山奥は危険だな。なんとか、町の中に家をもてるようになろうぜ」

場面転換。

アラン「ケニー。お前、なにやってんだよ……」

ケニー「見て、アラン。すごい広いよ。10人以上いても、困らないくらいだ」

アラン「いや、それより、早く逃げるぞ。ここの主がいつ戻ってくるか……」

ケニー「大丈夫だよ。ここにいたドラゴンはやっつけたから」

アラン「……え? あの、伝説のレッドドラゴンをか?」

ケニー「これで、家の心配もなくなったし、壊されることもないね!」

アラン「……」

場面転換。

ケニー「うう……。何もかも、なくなっちゃった……」

アラン「脅威なのは、ドラゴンや魔物だけじゃないんだな。今度は戦争がない国に行こうぜ」

ケニー「うう……平和に暮らしたいよ……」

アラン「なあ、ケニー」

ケニー「なに?」

アラン「今度は国を滅ぼすとかは、やめろよ」

ケニー「え? ダメなの?」

アラン「ダメに決まってるだろ、っていうか、無理だから」

ケニー「そうだよね……。わかった。国を滅ぼすのは止めておくよ」

アラン「ああ、そうしとけ。じゃあ、俺は平和な国がないか、色々旅してみるよ。お前も来るか?」

ケニー「ううん。ボクはいいや」

アラン「そっか。じゃあ、いつか迎えに戻るから待ってろよ」

ケニー「うん」

場面転換。

グルルルと、魔物唸り声が響く。

アラン「……ケニー。どうなってるんだ、これ?」

ケニー「ああ、アラン! 久しぶり! 待ってたよ」

アラン「いや、待ってたよ、じゃねえ。なんだよ、これ!」

ケニー「あー、うん。ケニーが国を滅ぼしたらダメって言ってたでしょ? だから、魔王になって人間全部を滅ぼそうと思って。そうすれば、今度こそ、平和に暮らせるでしょ?」

アラン「……」

アラン(N)「やっぱり、ケニーは少し、いや、物凄くズレてる……」

終わり。

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