【声劇台本】西田家の受難 幼馴染の謎の行動
- 2019.04.07
- ボイスドラマ(10分)
◆シリーズ一覧
<シュークリーム事件> <西田怪談> <留年未遂事件> <アウトドアの恐怖>
■概要
主要人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、学園、ラブコメ
■キャスト
西田 正志(17) 長男
高坂 陽菜(17)幼馴染
■台本
正志(N)「生きる。それは戦いの連続だ。正に今、俺も時間と戦っている」
正志が道を走っている。
その後ろから、陽菜が走ってくる。
陽菜「もう! 正志、遅いわよ! 遅刻するじゃない!」
正志「だから、走ってるんだろ!」
陽菜「もう少し早く出れば、走らなくてもいいでしょ」
正志「それができたら、苦労しない」
陽菜「……ただ、早く起きるだけじゃない。どうしてできないのよ」
正志「この俺に、朝の至福の時間……二度寝をするなって言うのか? 冗談じゃない」
陽菜「たまには早起きもいいんじゃない? ほら、早起きは三文の得っていうでしょ」
正志「三文の得にしかならないなら、寝てるほうがよっぽど得だろ」
陽菜「(ため息)まったく、あんたは……」
正志「そういう陽菜だって、俺と同じだろ?」
陽菜「あんたと一緒にしないでくれる? 私はちゃんと、早起きしてますぅ!」
正志「なら、なんで、今、俺と一緒に走る羽目になってんだよ?」
陽菜「それは、あんたを待って……じゃない、色々、あるのよ」
正志「ふーん。そうなのか」
陽菜「ね、ねえ、正志、明日から、私が起こしに行ってあげようか?」
正志「いや、だから、お前と合わせたら、今とかわらないんじゃないか?」
陽菜「え? あ、いや、それは、ちゃんと早く起こしにいけるわよ」
正志「別にいいよ。悪いし」
陽菜「気にしなくていいって。ほら、幼馴染なんだし」
正志「でもほら、親しき中にも礼儀ありっていうだろ?」
陽菜「……変なところでめんどくさいなぁ」
正志「とにかく、お前は早く家出れるなら出て、遅刻しないようにしろよ。俺になんかに構わないでさ」
陽菜「それじゃ意味ないのよ!」
正志「な、なんでいきなり切れるんだよ?」
陽菜「え? えっと、その……ほら、あんたとは腐れ縁じゃない? だから、その……先生から頼まれてるのよ、あんたが遅刻しないようにって」
正志「親じゃないんだから、そんなこと断っていいだろ」
陽菜「……」
正志「どうした? 急に黙って」
陽菜「最近、あんたとはこうやって話すことも少なくなったわよね」
正志「んー。まあ、クラスも違うくなったしな。しゃーないんじゃないか?」
陽菜「……あんたは、それで平気なの?」
正志「どういうことだ? 平気もなにもないだろ」
陽菜「……馬鹿」
正志「なんで、いきなり、罵倒されないといけないんだよ」
陽菜「バカ! あんたなんか知らない!」
正志「こ、今度は逆切れかよ……」
陽菜「うう……。あんたがちゃんと朝早く起きれば、もっといっぱい話せるのに!」
正志「いや、だから、俺は話す時間があったら、寝てたいっていう話をだな……」
陽菜「うるさい! いいから、あんたは早く起きればいいのよ!」
正志「お、おい! 頬を引っ張るな!」
陽菜「わかったわね! ちゃんと早く起きるのよ!」
陽菜が走り去っていく。
正志「うお、あいつ、足早いな。あれなら、もう少し寝てられるんじゃないか?」
正志(N)「なぜ陽菜が怒ったのかはわからない。けど、まあ、そこまで言うなら明日は早く起きてみるか。……あいつ、ガチで怒ったら怖いしな」
朝。スズメの鳴き声が響く。
正志(N)「んー。朝って、意外と気持ちいいな。陽菜の言う通り、早く起きるものいいもんだな。って、朝、走らないで学校行くって何年ぶりだ?」
学校のチャイムが鳴り響く。
正志「あー、腹減った。昼飯、昼飯」
バンとドアが勢いよく開く。
正志「お? 陽菜。珍しいな。お前がこっちのクラスに来るなんて……」
陽菜「ちょっと! なんで、あんた、学校に早く来てるのよ!」
正志「いや……お前が早く来いって言ったんじゃねーかよ」
陽菜「まさか、本気にするって思わなかったのよ! あんたを待ってて遅刻したじゃない!」
正志「……なんで、俺のせいなんだよ」
陽菜「もう、馬鹿!」
陽菜が正志にビンタする。
そして、陽菜が勢いよくドアを開いて、ぴしゃりと閉める。
正志「……理不尽」
正志(N)「なぜ、陽菜が怒ったのか。それはよくわからない。とにかく、俺が早く起きたことが気に食わないみたいだ」
家のドアを開いて、走る正志。
正志「やべえ! さすがに寝すぎた!」
必死に走る正志。
後ろから陽菜が走ってくる。
陽菜「あんた、馬鹿じゃないの? なんで、こんなに遅いのよ!」
正志「いや、早起きしなくていいって思ったら、いつもより深い二度寝をしちまったんだよ」
陽菜「もう! 六時からずっと待ってた私の時間を返してよ! それに、今日もこれ、絶対遅刻じゃないのよ!」
正志「俺に切れるなよ。六時に出たらな、さっさと学校に行けばいいじゃねーかよ」
陽菜「うるさいわね! とにかく、あんたはちゃんと起きればいいいのよ! わかった!?」
正志(N)「なぜ、陽菜が怒ったのか、よくわからない。とにかく、俺が寝坊し過ぎたことが原因らしい」
朝。スズメの鳴き声が響く。
正志(N)「……さすがに六時に起きるのは早すぎたな。眠い……。それに、こんなに早く学校に行ってもなー。しゃーない。教室で二度寝しよう」
正志が道をゆっくりと歩いていく。
昼。学校のチャイムが鳴る。
正志「あー、腹減った。昼飯、昼飯」
バンとドアが勢いよく開く。
陽菜「あんたねー! 早く来たり、遅く来たり、どっちなのよ!」
正志「……聞きたいのはこっちだ」
陽菜「あー、もう! わかったわよ! 私が起こしに行けばいいんでしょ!」
そして、陽菜が勢いよくドアを開いて、ぴしゃりと閉める。
正志「……なぜ?」
正志(N)「結局、次の日から、陽菜が迎えにくるようになった。おかげで、俺は朝の二度寝ができなくなってしまった。でも、まあ、遅刻しなくなったし、時間と戦わなくてよくなったのは、良しとするか」
終わり
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