【声劇台本】オンライン飲み

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■概要
人数:2人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
雨宮 さくら(29)
川岸 七海(29)

■関連シナリオ
<山ガール>  <歴女>

■台本

バタンと勢いよくドアを閉め、さくらが部屋に飛び込んでくる。

さくら「うう……寒い、寒い。えっとリモコンリモコン」

さくらばリモコンを押し、エアコンを付ける。

さくら「……火力が足りない。って、もうこんな時間」

パソコンを立ち上げるさくら。

クリックを押して、操作する。

画面の向こうから七海が見ているテレビの音。

さくら「ごめん、七海、お待たせ」

七海「あははは! ん? あ、さくら、お帰り。遅かったね」

七海がテレビを消す。

さくら「ちょっと残業でさ……。って、七海ずるい。部屋でTシャツ、アイスとか……」

七海「んん? 普通じゃん」

さくら「そうなんだよね……。そっちだと普通のことなんだよね……」

七海「言われてみれば、さくら、随分と厚着だね」

さくら「寒いのよ! 家の中なのに!」

七海「なーに? マンスリーってストーブついてないとか?」

さくら「いや、こっちって家の中でストーブとか禁止なのよ。だから、エアコンで暖を取るしかないの」

七海「え? エアコンって涼しくする機械じゃないの?」

さくら「ううん。一応、暖房の機能付いてるけど、ちょっと暖かい風しか出ない上に、なんか、こっちの家ってすぐに部屋が寒くなるから、ずっとつけてないとヤバいのよ」

七海「電気代もヤバそうだね」

さくら「……」

さくらがエアコンを消す。

七海「……切っちゃって大丈夫なの?」

さくら「布団被るから平気……」

七海「ま、まあ、夏は快適でいいじゃん」

さくら「春にはそっちに戻るけどね」

七海「……ご愁傷さま。とにかく、何か暖を取る方法を考えなきゃね。道民は寒さの耐久度は低いからさー」

さくら「そう! それ!」

七海「へ? なに? どれ?」

さくら「北海道の人間ってさ、寒さに強いって思われるんだよね……。こっちの人によく言われるのが、これくらいの寒さなら平気でしょ、だよ」

七海「あー……」

さくら「逆だよね。北海道ってさ、家に入ればストーブで一気に部屋を暖めるから、今の七海みたく半袖でアイスとか食べるじゃない?」

七海「冬のアイスは美味しいですなぁ」

さくら「で、外に出るときはメチャメクチャ厚着して、寒さ対策はばっちりじゃない」

七海「まあ、顔面の寒さの耐久は強くなるけどね」

さくら「だからさ、意外と道民って寒さに耐久があるわけじゃないよね」

七海「まあ、そうだね。外に出歩くときも車が多いしね」

さくら「今は、家の中からエンジンかけて車の中を暖めることができるしね」

七海「でも、そっちは氷点下とかはいかないんでしょ?」

さくら「うん。家の中で白い息とかは出ないかな」

七海「ほえー。そりゃ暖かいね」

さくら「でも、ストーブがないから、部屋が暖まらないし、厚着するのも慣れないから、面倒だし、もう嫌!」

七海「まあまあ。そっちは雪とかもあんまり降らないって聞いたし、面倒な雪かきとかしなくてもいいから楽じゃん」

さくら「んー。確かに雪かきしなくてもいいけど、ちょっと雪降ったら電車とか止まるから困るんだよね」

七海「え? 雪で電車止まる? なんで? 一メートルとか積るわけじゃないんでしょ?」

さくら「うん。滅多に降らないから、逆にそのへんの対策はされてないみたい」

七海「へー。雪で電車止まるのかー。こっちなら、会社がすぐ休みになっていいね」

さくら「いや、その前提はおかしいでしょ。それより、聞いて、七海!」

七海「なに?」

さくら「こっちだとさ、雪が降ると傘さすのよ」

七海「……傘? なんで、傘なんてさすの?」

さくら「ほら、こっちってそっちみたいに気温が下がらないでしょ? だから、雪がみぞれっぽくて水っぽいんだよ」

七海「ふーん……」

さくら「七海、わかってないでしょ?」

七海「雪が水っぽいっていうのがさ……」

さくら「まあ、そっちだと、雨降ってるときに傘がないと、雪にならないかなって思うくらいだからね」

七海「でもさ、雪の中、傘さしてたらドンドン重くならない?」

さくら「いや、そこまで降らないから」

七海「あ、そっか」

さくら「って、地元の話題は置いておいて、まずは飲むわ」

さくらがプシュッとお酒の缶を開けて、グビグビと飲む。

七海「おお、いい飲み」

さくら「うう……冷たい」

七海「そこは、ぷはー、美味いじゃないの?」

さくら「寒い中、冷たいものはこたえるわ」

七海「熱燗とかにしたら?」

さくら「日本酒買ってないし、絶対に二日酔いになるからヤダ……」

七海「まあ、飲んでればそのうち、熱くなってくるんじゃない?」

さくら「……部屋の中でぬくぬくしながら言われるのってなんか腹立つ……」

七海「……酔っぱらってないのに絡まれてる感じがする」

さくら「それより、こうやってオンラインで顔を合わせるって、なんか新鮮だね」

七海「いっつも直で会ってるからね。さくらがそっちに出張ってことだから、流行りのオンライン飲みを試してみたかったのよ」

さくら「あー、また流行りに乗っかっただけか」

七海「でもさー、ホント、今の時代に生まれて良かったって思うよ」

さくら「ん? どういうこと?」

七海「だってさー、直接会うのって、会える人数や会える範囲って決まってくるじゃない?」

さくら「まあ、そうだね」

七海「でもさ、オンラインなら、どこにいてもすぐにこうやって会うことができるんだよ?」

さくら「……そ、そうだね」

七海「だから、これはチャンスだと思うの! 私はオンラインでモテモテになって、彼氏を作る!」

さくら「あ、あのさ……別にオンラインだからモテモテになるとは限らないんじゃない?」

七海「……えっと、それは、数で勝負するの! たくさん、オンラインで会えば、きっと私の彼氏に相応しい人に会える気がする!」

さくら「うーん……。そうかなぁ……」

七海「100人で無理だったとしても、1000人と会えば、きっと1人くらいは!」

さくら「1000人って……。いくらオンラインでも大変じゃない?」

七海「だからそこは、一人に時間をかけないで、ポンポンポンと切り替えてくの」

さくら「……それもどうかと思うけど。それに、時間がないならさ、七海……」

七海「なに?」

さくら「私と話してて大丈夫なの?」

七海「……」

ブツとオンラインが切れる音。

さくら「あ、切った! ……うう、寒い。もう寝ようっと」

終わり。

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