【声劇台本】西田家の受難 クリスマスと不思議な旅

【声劇台本】西田家の受難 クリスマスと不思議な旅

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◆シリーズ一覧
<シュークリーム事件> <西田怪談> <留年未遂事件> 
<幼馴染の謎の行動> <アウトドアの恐怖> <ご馳走>

■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
西田 正志(17) 長男
高坂  陽菜(17)幼馴染
西田 清 (17) 二男・正志の双子の弟
西田 総士(14) 三男

■台本

正志と陽菜が並んで歩いている。

陽菜「ねえ、正志。そろそろクリスマスだね」

正志「あ? ああ、そういえばそうだな」

陽菜「クリスマスっていえば、何を連想する?」

正志「うーん。戦争かな」

陽菜「……なんでよ」

正志「いや、ほら、クリスマスってさ、いつもより晩飯が豪華になるだろ? 兄弟同士で取り合いになるんだよ。結構、流血沙汰になるんだよなぁ……」

陽菜「さ、殺伐としてるのね……」

正志「陽菜のとこは違うのか?」

陽菜「違うわよ。私ん家、兄弟いないし。それに、普通の家じゃ、クリスマスは楽しいイベントなのよ」

正志「ふーん」

陽菜「そ、それよりさ。クリスマスっていえば……ほら、恋人の日って感じがしない?」

正志「つってもなー。別に恋人いないし」

陽菜「だよね。それでさ、もし、私から何かプレゼントがもらえるって言ったら何がほしい?」

正志「んー? いいよ。プレゼントなんて。悪いし、プレゼントって年でもねーしさ」

陽菜「例えばよ、例えば。なんでも一つだけプレゼントを貰えるとしたら、何がいい? 年に一回だけのチャンスだよ?」

正志「そうだなぁ……」

陽菜「ごくり……」

正志「異世界転生してみたいな」

陽菜「は?」

正志「ほら、今、流行ってるみたいだぜ、異世界転生。俺が行くなら、近未来系がいいな。すげー科学とか発達してるとこがいいな」

陽菜「あんたバカなの?」

正志「今更なんだよ」

陽菜「そんなのプレゼントできるわけないじゃない! バカ!」

正志「いや、お前がなんでもいいって言ったんだろうが」

陽菜「話の流れを考えなさいよ! なんのための前フリをしたと思ってるのよ、バカ!」

正志「前フリってなんだっけ?」

陽菜「ここは普通、恋人が欲しいって言うところでしょ!」

正志「いいよ。悪いし」

陽菜「悪くない!」

正志「はあ……。異世界に行ってみてえなぁ。空飛ぶ車とか、最高だと思わねえ?」

陽菜「知らないわよ」

正志「何怒ってるんだよ……って、うお!」

ツルっと滑って、正志がひっくり返る。

そして、ゴンと頭を打ち付ける。

正志「痛ってー! なんでこんなところにバナナの皮が……って、あれ? 陽菜?」

ヒューっと頭上を何かが通過していく。

正志「ん? なんだ? って、うおっ! 車が空を飛んでる! それに、なんか道路も色々光ってるぞ! すげー、なんだここ! ……はっ! まさか、異世界に転生したのかっ!」

清「正兄ぃ、何やってんの、こんなとこで」

正志「ん? あれ? 清? お前もこっちの世界に転生したのか?」

清「……何言ってんの? さっさと帰るよ」

正志「お、おう……。(独り言)どういうことだ? もしかして、この世界の俺と入れ替わった系なのか?」

正志と清が歩く。

正志「なあ、清。お前は空飛ぶ車には乗らないのか?」

清「……いや、俺、まだ学生なんだけど」

正志「あ、そっか。……あっても乗れないんじゃ意味ねーな……」

場面転換。

ウィーンと自動ドアが開く。

正志「おお! 自動ドアだ! いいのか!? 家に自動ドアなんてつけていいのか! 贅沢すぎるだろ!」

清「……なに言ってんの? 早く入るよ」

正志「お、おう……」

バンと正志が見えない壁にぶつかる。

正志「うおっ! いてぇ! なんだ? 見えない壁があるぞ……?」

清「正兄ぃ。また、登録消しちゃったの? 何回やれば気が済むんだよ。ほら、もう一回、網膜登録しなよ」

正志「お、おう……」

ピピっと音がしてウィーンとドアが開く音。

正志「なんか、未来感があっていいな」

場面転換。

正志「なあ、総士。そろそろ、飯の準備しなくていいのか?」

総士「ん? ……まだ、飯の時間まで30分あるじゃん」

正志「いや、だから、そろそろ準備……って、お前、まさか晩飯手抜きをする気か! 許さんぞ! こっちに来て初めての飯なんだから、俺はかなり期待してるんだ」

総士「きよ兄ぃ。なんか、兄貴、変なんだけど」

清「いつもそんなんじゃないか」

総士「そうなんだけど、ウザ絡みしてくるんだよ」

清「早く食べたいってことじゃないの? 正兄ぃのだけ、用意してやったら?」

総士「面倒くせぇ」

場面転換。

正志「なんだ、この機械?」

総士「……なんの遊び? フードプロフェッサーだけど」

正志「どう使うんだ?」

総士「……はあ。ここに、素材の粉を入れて、料理を選択して、ボタンを押す。そうすれば、選んだ料理を作ってくれる。……これで満足?」

正志「すげーー! さっそくやってくれ」

総士「きよ兄ぃ。兄貴、キモイんだけど」

清「いつもだろ」

総士「まあ、そうなんだけどさー」

ピッとボタンを押す。

場面転換。

正志「なあ、総士。なんだこれ?」

総士「晩飯」

正志「ふざけんなー! なんだよ、ご飯に味噌汁に、卵に焼き魚って! 普通過ぎんだろー! もっと、こう! ステーキとか寿司とか、焼き肉とか、色々あるだろー」

総士「んな、高い素材あるわけねーだろ。食いたいなら、自分で素材買ってきなよ」

正志「むむむ……。異世界でも貧困の差別を受けることになるとは……」

正志(N)「それから一週間、この世界で過ごしたけど、正直言って、前の世界と何も変わらない生活だとわかった。まあ、ちょっとは珍しいものもあるけど、見慣れると感動も薄くなる。異世界って言っても、あんまり面白くないな……」

場面転換。

清「正兄ぃ、そろそろ起きなよ。昼飯冷めちゃうけど」

正志「ああ……今行く。ふぁーねむぃ。って、うお!」

ズルっと滑り、階段から転げ落ちる正志。

場面転換。

正志「いてて!」

陽菜「大丈夫?」

正志「あれ? 陽菜? って、まさか……戻ってきたのか?」

陽菜「何言ってるの? 頭でも打った?」

正志「ああ、二回程な。それより、陽菜。プレゼントは、異世界転生は無しだ。思ったより面白くなかった」

陽菜「……病院行く?」

正志「やっぱり、異世界より、過去に戻りたいな。過去に戻ってやり直したい」

陽菜「だから、プレゼントできるものにしなさいよ。例えば、彼女が欲しいとか」

正志「いいよ、悪いし」

陽菜「いいから、彼女が欲しいって言いなさい!」

正志「ちょ、待て! 押すなって……うわっ!」

再び転び、頭を打つ正志。

正志「あれ? ここって……」

陽菜「何ボーっとしてるの? 早く行くわよ」

正志「あ、ああ……。(つぶやくように)まさか……」

正志と陽菜が並んで歩いている。

陽菜「ねえ、正志。そろそろクリスマスだね」

正志「戻るって、10分前かよ!」

終わり。

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