【声劇台本】西田家の受難 暗闇の犯行

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■シリーズシナリオ
<シュークリーム事件> <西田怪談> <留年未遂事件> 
<幼馴染の謎の行動> <アウトドアの恐怖> <ご馳走>
<クリスマスと不思議な旅> 〈初恋の約束〉 〈初夢とおみくじ〉
〈睡眠不足?〉 〈日本の変わった文化〉 〈休日の過ごし方〉
〈海水浴場〉

■概要
主要人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、日常系、コメディ

■キャスト
西田 正志(まさし)(17) 長男
西田 清 (きよし)(17) 二男・正志の双子の弟
西田 総士(そうし)(14) 三男
西田 隆 (たかし)(5)  末っ子

■台本

セミの鳴く声が響く。

場面転換。

正志の部屋。

正志がガバッと起き上がる。

正志「暑ぃ……」

場面転換。

ガチャリとドアを開け、正志がリビングに入って来る。

正志「ふあー(欠伸)」

清「あれ? 正兄ぃ。昼前なのに起きてくるなんて、珍しいね」

正志「暑くて、寝てらんねえ」

正志がリモコンのボタンをピッピッピと押す音と、エアコンのゴーっという音。

正志「あー、涼しい」

清「正兄(まさに)ぃ。温度下げ過ぎ」

正志「いいじゃねーか。もう少し涼んだら戻すって」

ガチャリとドアが開いて、総士が入って来る。

総士「ただいまーって、あれ? 兄貴、休みなのに、昼前に起きてるって珍しいな」

正志「……どいつもこいつも。それじゃ、俺が休みの日はダラダラ過ごしてるみてーじゃねーかよ」

清「実際、そうじゃないの?」

正志「……」

総士「あー、腹減った。きよ兄ぃ、飯って残ってる?」

清「ああ。冷蔵庫に昨日の残りのコロッケが入ってるはず」

総士「ん。じゃあ、レンジでチンして食うか」

正志「おいおい、総士。シャワー浴びてからにしろよ。汗くせーぞ」

総士「食ったら、浴びるって」

総士が歩いて冷蔵庫の前まで行き、開く。

総士「コロッケ、コロッケ……。あれ? ねえ、きよ兄ぃ。なんか、冷蔵庫にケーキあるんだけど?」

正志「え? マジで?」

清「今日の晩飯食った後に、みんなで食うって母さんが言ってたから、そのまま置いておいて」

総士「ほーい」

正志「あ、俺、先に食いたいな」

清「ダメだって。どうせ、先に食っておいて、後からみんなが食べてるの見て、ズルいとか子供みたいなこと言い出すんだから」

正志「……んなこと言わねーって」

清「とにかく、ダメなものはダメだって」

正志「ちぇっ!」

総士「えっと、コロッケは、と……あったあった」

総士が電子レンジのところへ歩く。

ガチャリとレンジを開けて、コロッケを入れる。

総士「2分、くらいでいいかな」

ピッピと操作して、温め開始のボタンを押す。

ブーンというレンジの温める音。

正志「あ、総士。ケトルでお湯沸かして。俺、カップ麺にする」

清「……正兄ぃ。暑いって言ってなかった?」

正志「エアコンがガンガン効いた中で食う、カップ麺が好きなんだよ」

清「……」

総士「ったく、自分でやれよ」

総士がケトルを持って、水を入れる。

そして、ケトルをセットして、スイッチを押す。

清「……あ、総士、ちょっと待って」

総士「え?」

バンと音がして、電子レンジとエアコンの音が消える。

総士「あれ? レンジ、止まった?」

清「……電気、使い過ぎ。ブレーカー落ちたんだよ」

正志「……」

場面転換。

隆「ごちそうさまでした!」

清「綺麗に食べれたな。偉いぞ、隆」

隆「えへへ」

正志「……じゃあ、ケーキ食おうか」

総士「俺、持ってくるよ」

正志「あ、いや、いい。俺が用意する」

総士「え? そう? じゃあ、よろしく」

正志「清、お前、甘いもの食べるときはコーヒー飲むんじゃないのか?」

清「ん? ああ、そうだね。お湯沸かすかな」

清が歩いて、ケトルを持って、水を入れる。

そして、ケトルをセットして、ボタンを押す。

正志「俺はホットミルクにしようかな。総士いれてくれ」

総士「ホットミルクって珍しいな。って、自分でやれよ」

正志「いいじゃねーか。あ、隆。エアコンの温度下げてくれ」

隆「はーい!」

隆がピッピッピっとリモコンを操作する。

総士が電子レンジを開けて、コップを入れ、温めのボタンを押す。

清「あ……」

バンとブレーカーが落ちる音。

隆「うわー! まっくら!」

場面転換。

清「……つまり、暗闇に乗じて、誰かがケーキを一個食べたってこと?」

正志「……そうなるな」

総士「どう考えても、兄貴でしょ。ケーキに一番近かったんだから」

正志「いや、ブレーカーを入れに行ったのは俺だぞ。逆にケーキの近くにいた時間は一番少ないっての」

総士「お、俺じゃないぞ!」

清「俺もそんな姑息なことはしないよ」

正志「隆のわけもないしな」

総士「……まさか、またミラか?」

正志「あ、そうかもな」

清「いや、それはあり得ない」

正志「なんでだよ?」

清「ミラがそんなにきれいに1個を食べきると思う? ミラが食べたなら、残骸が残ってるはずだよ」

総士「じゃあ、一体、誰が……?」

正志「まあ、いいじゃねーか。家族を疑うなんて、不毛なことは止めよーぜ」

清「……」

総士「けど、1個足りないんだぞ? 誰か食えなくなるけど、どうするんだ?」

正志「今回は俺が諦めるよ」

総士「え? 兄貴、何言ってんだよ? なんか変なもんでも食ったか?」

正志「いやいや。長男としては当たり前のことだって」

清「……」

総士「なんか、怪しいな」

正志「おいおい。いらないって言ってるんだぞ。怪しいも何もないだろ」

総士「そりゃそうだけど……」

正志「あ、そうだ。その代わり、みんなの一口ずつくれよ。それで、どうだ?」

総士「……まあ、一口なら」

清「待った」

正志「な、なんだよ?」

清「ケーキを食べた犯人は正兄ぃだ」

正志「な、な、何言ってんだよ! 俺は停電になってからすぐにブレーカーを入れにいったんだぞ! ケーキを食う時間はなかったって!」

清「……そう。そこが罠だったんだ」

総士「どういうこと?」

清「正兄ぃに、見事に誘導されたんだ。犯人は停電の時にケーキを食べたんだって、ね」

正志「……」

清「停電になる前。ケーキの数を確認した人間はいない。正兄ぃ以外は……ね」

総士「え?」

清「つまり、停電になる前にもう、ケーキを食べてたんだ。その証拠に、総士がケーキを用意すると言ったとき、正兄ぃが、自分でやると言い出した」

総士「……そういえば」

清「正兄ぃは、今日の昼前にブレーカーが落ちるのを見て、今回の犯行を思いついた」

正志「……」

清「改めて考えてみたら、ケトル、電子レンジ、エアコンをつけるように誘導したのは正兄ぃだ」

正志「うっ!」

総士「け、けど、なんで、そんなことを? さっき、兄貴も言ったように、兄貴はケーキを辞退したんだぜ?」

清「そこも、正兄ぃにしては巧妙だった。そうすることで、俺たちに今回の犯人じゃないと心理的に思わせたんだ」

正志「……」

清「だけど、本当の狙いは……一口を貰うこと」

総士「あっ!」

清「そう。既に1個食べた正兄ぃは、さらにみんなから一口を貰うことで得するんだ!」

正志「う、うう……」

清「どう? 俺の推理、間違ってる?」

総士「兄貴……。最低だな」

正志「うう……。うわー! ほんの、ほんの出来心だったんだー! 許してくれー!」

終わり。

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